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上橋菜穂子「月の森に、カミよ眠れ」はエロス〜

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月の森に、カミよ眠れ

児童文学なのですが、よくよく読むと(深読み)凄いエロスでした。
というとお怒りになる方もいるかもしれませんね。
すみません。最初に謝っておこう。

エロスといっても、快楽はまるで出てきません。あしからず。
直接的な表現も、当然出て来ません。
でもメインテーマは男女の愛と生み出される命。
だから、そこに純粋なる愛が溢れてて、物凄いパワーがあります。

「むかし、この世が生まれてまもないころ、
母なる大地はたえず、どろどろと熱い血をながしておった。
その血をとめ、子をはらませてくれる夫がいなかったからだ」

「みるまに巨大な蛇は、大地にむかってすべりおり、
その身から、数知れぬきらめく雨粒を四方にはねとばした。」

「あれこそは、命の波の守り手。この世とあの世との流れをつかさどる月。
大地の母が血をながしたように、この世に命を生み出す者は、みな、
月がひとめぐりするたびに、血をながす。
この血は、この世に生み出されることのなかった、命をはらんだ血。
あの世とこの世を結ぶ流れじゃ。強い強い霊力をはらんでいる。
この力は、月にしたがう夜の力。男がのぞむ昼の力とはあいいれぬ、闇の力じゃ。」

火山の溶岩は、地球の月経、つまり血で
受精することが出来なかった、でも命をはらんだ血。
あの世とこの世を結ぶ流れ。強い霊力を持っている。

だから月のものは強い穢れとして恐れられるのかもしれませんね。

さて、その穢れを止めるのが受胎。
昼の、男の力。

アは天。昼を司るもの。そして男。男は陽。
ワは地。夜を司るもの。そして女。女は月。

上記はホツマツタエ。
上橋菜穂子さんの作品には出てきませんが、深く繋がっている気がします。

 

リビドーロゼ

 

あとがきに中学生にもわかると……とありますが、
うん、確かに分かる子もいるでしょう。
いや、神秘であるゆえに、このくらいの年代の子に伝えたい内容なんだと思います。

男女の和合は避けるべき話題ではない。
小学生にもちゃんと保健教育の授業があるし、元々日本はエロスの国。
変に避けよう、隠そうとするのがおかしいのかも。

互いの準備ができていて、また意志の疎通が出来ているのならばね。
ちなみに、その意志の疎通を確かめるのが、歌の読み合いなんですね。

源氏物語で若紫と結婚した光源氏は、ロリコンだとよく言われますが、でも光源氏はちゃんと若紫に月のものが来るのを待ってる。
原文に詳しくないから歌の呼びかけをしたかどうかは知らないけれど、ちゃんと三日夜の餅も準備して結婚してる。

男の子は昔は十四、五で成人、元服。戦に出ます。
昔は今みたいに長生き出来ないし、飢饉や洪水で死ぬことも多くあったから、ゆっくりじっくりと数少ない子供を大切に育てて〜なんて、現代みたいなことは出来ない。

信長さんの敦盛「人間〜五十年〜」は、長生き出来て五十年ってことですよね。
信玄さんも謙信さんもその辺でポックリ逝っちゃってます。
我が愛しの頼朝さんだって数えで五十三歳。
白河院や時政さんみたいに八十くらいまで長生きの人もいたけれど、六十過ぎたら万々歳。だから還暦、喜寿のお祝いを華々しくやったんだろうね。

脱線するけど、現在は戦前の方々が長生きされていますが、私達の世代はあんなに長生き出来ないだろうね。口に入れてきた食べ物が悪いし、空気や水、そして電波にあちこち傷めつけられている。なるべく長生きせずにポックリ死んでくださいってことなんでしょうかね……。

 

話は戻りまして「月の森に、カミよ眠れ」
そういうわけで描かれる男女の結婚。神との結婚。そして進化と保守。

舞台はファンタジーになっていますが、日本で言えば狩猟時代が終わり、稲作が広く普及し始め、人々は土地へと土着し、力を持った者に支配される律令の世へと移り変わった頃の話です。

薩摩隼人をモデルに描かれているそうなのですが、でもそれは物語の中では明記せず、あとがきで
「正確に隼人をえがくには、力量も資料もすくなすぎました。ですから、この物語は歴史物語ではなく、ファンタジーとして書きました。可能なかぎり歴史的背景をはずさぬように心がけましたし、隼人とひと口にいってもさまざまな文化集団が存在した可能性もあるようですが、主人公のムラのイメージが<隼人>の典型とは、どうぞ考えないでください。」
と書かれています。

森と山に棲む神とその妻の間に生まれた男の子、タヤタ。
その神の妻となるだろう巫女(カミンマ)のキシメ。
時代の流れに置いて行かれまいと進化を選択したムラの男たち。
そして彼らに依頼されて神を殺しにきた、やはり神の子、ナガタチ。

カミンマは、神とムラの間、<境>に立つのが役目。
新しい文化が入ってきて、古くからの慣習との共存が難しくなっていく。
ムラを守るためにどうするのがいいのか悩んだ結果、キシメが選んだ道は……

って粗筋です。

カミンマは巫女。
巫女は神さまの嫁。
結婚は男女の和合。
だから、神とカミンマの間にはちゃんと子が生まれています。神の声を聞くことの出来る子が。

通常、律令における巫女のイメージって純潔、聖女ではないですか? 子を生むワケがない! みたいな。
私はずっとそういう「聖なる少女」的なイメージを持っていました。
生母マリアも何故か純潔のまま神の子を産みますよね。でも、よく考えたら変な話。

そういう巫女の役目は、大抵は天皇の妹がやっていたはずですが、その巫女はどの神さまと結婚するんでしょう? 伊勢神宮に行くってことは天照大神? でも、アマテラスさんは一応女ってことになってますよね?
神って一体いつからいなくなったんでしょう?

なーんて、色々考えてしまいます。

 

話は変わりまして、初潮って昔はお赤飯を炊いてお祝いをしましたよね。
(今はしないのかな?)

この物語の中では、初潮を迎えた少女は、ムラの男衆の前にお披露目されます。

「結婚出来るようになったよ」
ってアピールするんですね。

すると、次の夜から男達が家にやってきて戸の向こうから歌で呼びかける。
それに女が答えれば、めでたく結婚成立。

これは薩摩隼人の伝承の中でも限られたムラでの風習なのかもしれないし、
または上橋さんのオリジナルなのかもしれない。調べてないのでわかりません。

でも、和歌を読み合うのは平安時代の和歌の風習と同じですね。
いや、もっと言うと、古事記から。
イザナギとイザナミは天の沼矛の回りをぐるりと回って声を掛け合ってから結婚します。

ここで女から声をかけるとヒルコちゃんが生まれてしまい、駄目判定されますが、それって男尊女卑じゃないのかい? と私なんかは思ったりもするけれど、何か理由があるんでしょうね。

一番印象に残った文章は

「<掟>は人の命よりだいじ。どちらかをとらねばならないときは、<掟>をとるのがカミンマの役目。」

「人は、おろかなもの。いくども過ちをくりかえす。……その過ちをつぐなうのが、カミンマの役目。けれど、人ひとりの命ではつぐなえないような過ちは、すべての<絆>をたち切ってしまう。」

人は間違える。つい楽な方向、間違った方向へと流される。だから

絆がとぎれれば、人はいつか山をほろぼすだろう。そして、そのとき、人もほろびるのだ。

カミンマは、人と神との間に立つ者。<境に立つ者>
だから、<絆>を守るのが、その役目。

深い。一回目読んだ時はあまりよくわからなかったのが
二回目、三回目を読んだら、じわじわとボディーブローのように効いてきました。

歴史を知らない人でも違和感なく、知ってる人にも多分不自然なく、ただただ少年少女の心を語っていく。
行動を語っていく。
ファンタジーにぼかしつつ、でも根底に確かな土台と、そして深み、強さ、優しさがある。
だから、上橋さんの文章は心に沁みるのでしょうね。

今度は、上橋さんの短編「狐笛のかなた」について語りたいのですが、今日はこんな所で。

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  5. 連載は3月で完結。4月いっぱいで下げます。<アマカケル>

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