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とかじり小四郎 ―北条義時―12

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『 とかじり小四郎 ―北条義時― 』

 

「馬はここで捨てる。山には登れぬからな」

 小富士を連れて来るのではなかったと小四郎は後悔した。誰か信頼出来る人物に預けるのだった。手綱を外された小富士は不思議そうな目で小四郎を見ている。小四郎はその鼻先を優しく撫で、そっと告げた。

「無事で……また会おう」

 『また会おう』

 ふと、石和五郎の顔が浮かぶ。会えないとわかっていても、会いたいと思うからこそ使う言葉なのかもしれないと、小四郎はその時に悟った。

 

 二人はその後、頼朝が登っていった険しい峯ではなく、そこを少し迂回した路を通って一路甲斐を目指した。

 鎧が重い。足に纏わり付く具足も鎧の下の直垂も、雨水をたっぷりと吸い込んで身体を重く締め付ける。身軽であればそれ程苦ではない上りが、今日は果てしなく遠く長く感じられた。

 道中、時政はブツブツと何かを呟いていた。最初は何も聞こえなかった。間に合わなかった三浦の文句でも言っているのではないかと、自分の不運を嘆いているのではないかと思っていた。だが、急に耳が冴えて小さなその声がはっきりと聞こえた瞬間、小四郎は心臓を鷲掴みにされたような気がした。

「私の妻に手を出しおって。私が気付かぬと思ったか!」

 足がもつれてその場に倒れ臥す。時政が振り返る。

「小四郎? どうした、しっかりしろ。まだ甲斐は遠いぞ」

 倒れた小四郎に声をかけたその顔は普段通りの父だ。でも、また歩き出すとブツブツと呟いている。小四郎の耳は変にひどく冴えてしまっていた。

「宗時め、血が繋がらぬのを可愛がって嫡男としてやったのに裏切りおって……!」

 違う。宗時兄は牧の方には手を出していない。

「許さぬ。私は許さぬぞ。あれは私の女だ。手を出したものは誰であろうと許さぬ」

 息が詰まる。父の拳によって握り潰されているかのように胸が痛む。息が出来ない。

 逃げなくては。父から離れなくては。兄を助けに行かなくては。

 なのに小四郎は動けなかった。

「小四郎」

 ぜいぜいと息を切らし動けなくなった小四郎を、時政が立ったままゆっくりと振り返る。

「お前は私が血を分けた息子だ。よもや私を裏切らぬよな?」

 こくり、と喉が鳴る。

「お前は私の分身だ。これから向かう先で兵が現れたら私の盾となれよ? お前は江間を継いだ身。江間は北条の傍流。嫡流を守るは傍流の務め。立派に責務を果たすんだぞ」

 それはまるで呪文そのものだった。 

 

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