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北条政子の夢買物語 27

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アワの夢「北条政子夢買物語」

 

政子はぼんやりと壁を見ていた。ふと気付くと壁に穴があいている。指一本分くらいの小さな穴だ。他の壁は綺麗なのに、そこだけぽっかりと空いている。そして、そこから隙間風が吹いて来ていた。政子はもぞもぞと動き出すと、その穴を塞ごうとした。でも、その前になんとなくその穴を覗いてみることにした。
「わ」
思わず声をあげる。振り返ったら、頼朝が笑っていた。
「すごいだろう?」
政子は頷いた。穴を覗いたら、そこには菩薩様がいらしたのだ。それも暖かな桃色の光に包まれた神々しいお姿だった。
「どうなってるの?これ」
政子の言葉に、頼朝はちょいちょいと手招きをし、外に出た。家の周りを回って裏に出ると、壁にごみのように紙が一枚貼ってある。
「絵を描いてここに貼っただけさ」
「それだけ? だって光ってたわ」
「お日様の光だよ」
政子は、ああ、と頷く。
「じゃあ、夜は見えないじゃない」
「そりゃあ、夜は菩薩様は眠っていて貰わないといけないからな」
いたずらな顔に、政子の心もほぐれる。
「あなたって本当にどうしようもない人ね」
笑ってそう言ったら、頼朝の顔がほっとしたように和らいだ。
「やっと笑った」

それから二人は色々な話をした。
頼朝は博識だった。神仏のこと、大陸のこと、武器のこと、朝廷のこと、家族のこと、歴史のことや男女の仲まで、あちこちに話を飛ばしながら面白おかしく語ってくれた。その中で政子が興味を惹かれたのは不思議な力を持つという陰陽師のことだった。
「書物では読んだことあるんだけれど、そんなすごい力を持った人って、私見たことなくて。本当に陰陽師ってそんなにすごいの?」
「どうかな。安倍晴明という術者はすごかったと聞くがな」
「へえ」
「龍をも思い通りに操ったと言うからな」
ふと、政子は思い出す。
「そういえば、前に石和五郎殿が来たでしょう?」
「ああ、なかなか良い面構えの男だったな」
「彼が言ってたの。甲斐には龍がいる。伊豆にもいるって」
「龍か。確かに甲州には大きな地龍がいると聞く」
「龍って目に見えるの?」
「いや、目には見えぬ。だが、山としてそこに隆起しているからわかるのだ」
「ふうん」
政子は、石和五郎の言葉を思い出していた。
『あなたには龍の気がある』
きっとお世辞の一つだったのだろうが、男というものはそういう不思議なものが好きなんだな、と政子は思った。

 

その日、政子は頼朝に身体を預けた。そうすることが自然のように思えたからだ。
その時、頼朝は『髭切』の手入れをしていた。
「綺麗ね」
うっとりとした声で政子が言ったら、頼朝は笑った。
「何よ?」
「普通、女はそれほど刀に見惚れぬものと思ったが、やはりそなたは変わってる」
「悪かったわね」
と、頼朝は急にその『髭切』の切っ先を政子に向けた。政子は突然のことに息を呑んで、ただただ頼朝の顔を見つめる。そこには殺意はなかったけれど、でも何らかの意志はあった。数秒見つめ合った後に頼朝はゆっくりと口を開いた。
「『髭切』も、そなたが好きだと言っている」
「え?」
「そなたを知りたいと言っている」
そして『髭切』の切っ先が政子の喉元から下、着物にかかる。

「嫌なら逃げよ」
頼朝はそう言った。でも、逃げられないと政子は思った。なぜなら、この男には逃がすつもりがないからだ。でも、政子の心は静かだった。それでいいと思った。ただただ、『髭切』が自分の着物の上を滑り降りていくのを見守っていた。
「先祖伝来の大切な宝刀でこんなことしていいの?」
からかうように声をかける。頼朝がゆっくりと真剣に刀を下ろしていく様が面白かったからだ。頼朝は政子の身体の線をなぞるように慎重に刀を下ろしていった。
と、不思議なことが起きた。政子の身体を覆っていた着物がはらりと落ちたのである。まるで木蓮の花が花弁を落とすように、着物ははらはらと頼りなく床に落ちていった。

「やはり美しい身体だ」
そう言うと、頼朝は刀を抜き身のまま床に横たえた。そして政子の肌に手を伸ばす。やんわりとその両手で頬を挟むと口を吸った。
「美しいのは『髭切』? それとも私なの?」
そう尋ねたら、頼朝は笑った。答えの代わりに深く口を吸われた。

頼朝の手は首筋から肩へおり、脇をくすぐって胸を辿る。両の膨らみを包まれ、ゆらゆらと揉みしだかれる。最初は優しく、徐々に力を増して。でも、けして強引ではなかった。
「この国においての刀とは元来人をきるためのものではない。魔を祓うための神具であり、生きるために獣の肉を切る道具であり、着るための布を切るものであり、住むための木を伐るものと私は思う。だから、そなたの衣を切ってそなたを抱くのは、けして間違った使い方ではないぞ」
「それらしいこと言ってるようだけど、それって無茶苦茶よ」
政子はくすくすと笑った。だがその瞬間、両の頂を軽く摘まれる。
「ん」
思わず声が漏れて、政子は羞恥に顔を赤く染めた。手で頼朝を押して逃れようとするが、二の腕を両方とも掴まれて身動きができない。無防備なその身体を、頼朝は今度は口で攻め始めた。
「何故、人の女の乳首がこんなにも紅いか知ってるか? 鳥はなぜ紅い実を啄む? 赤子は生きる為に乳をのむ。よく見えない目で命の元を捜し当てなくてはならない。だから紅いのさ。キツネのように鼻がきけば色など必要ないのだがな」
頼朝は政子の胸に口を当て、吸い、しゃぶり、口の中で転がす。
「もう、やめてよ」
懇願するが、その願いが聞き届けられることはない。
「何故、女が紅い色を好んで身につけるか、それもまた同じこと。紅で誘っているのだ。実はここにあると、啄みに来いと。生きるために、血を繋げるために、自らの一部を未来に残すために、男も女も色を頼りに互いを探るのだ」
頼朝は、政子をゆっくりと横たえる。「やめて」と言いながら、政子はなんの抵抗もしなかった。あの夜と同じ、じわじわと自らの内から湧き出てくる泉。それを浚って欲しい。口には出せないけれど、確かに感じる自らの欲に、政子は目眩を起こしそうな心地で頼朝にされるがままになっていた。
やがて、政子の中の足りない所に頼朝の足りるものが収まる。そして政子は理解した。これが天地の完全なる形なのだと。アワの姿なのだと。『髭切』はそんな二人を床に横たわったまま静かに見守っているようだった。

 

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