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北条政子の夢買物語 28

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アワの夢「北条政子夢買物語」

 

頼朝はそれから夜も昼もなく政子を抱いた。藤九郎は姿をまるで見せなかった。ただ時に水や食料が置かれていた。頼朝はそれを口に、また政子を捕まえる。
ただただ、唸り、喘ぎ、耐えきれずに天に手を伸ばす政子を、頼朝は頓着せずに攻め立てた。
また、その最中もその前も終わった後も、ひたすら何かの話をし続けた。仏のこと、神のこと、天地の理、神話の伝え、戦の進め方、人の心の動きよう、ありとあらゆることについての話のようで、でも一つの宗教のように一方向を向いた内容のようでもあった。このまま聞いていたら洗脳されてしまうのではないかと政子は思った。

「何故、争いが起きるか知ってるか?」
政子は疲れて眠いのを我慢して、ううん、と首を振る。
「貧しい者が、富んだ者を羨む時に争いは起きるのだ」
「ふぅん」
「例えば、一日このくらいの米があれば生きていけるだろう?」
そう言って、頼朝は握りこぶしを見せた。政子は頷く。
「だから、それが確保出来ていれば、人は争う必要がない」
「でも争いは起きるわ」
「そう、これでは足りぬと思うからだ。自分が貧しい人間だと知った時、目の前に自分より富む者がいると、人はその相手が憎くなる。奪ってやりたいと思うのだ」
「最低」
「今、ここにこのくらいの米がある。だが、子供が二人いる。足らぬ。そなたならどうする?」
「私はいいから、子供達で分け合うわ」
「それでは、いずれ全員が飢え死にする」
「だって仕方ないでしょ。どこか他から奪えって言うの?」
「奪わなくていい。余っている者から分けてもらえばいい」
「分けてくれる人なんているの?」
「そう。分けてくれる人がいれば、争いは起きない」
「いなかったら?」
「争いになる」
そう言って、頼朝は遠い目をした。
「この国にも過去、争いのない時代があった。それは民が自分は富んでいると信じ、その場に満足していた時代だ」
「そんな時代、本当にあったの?」
「ああ。人が人を殺す為の武器を手に取らない時代だ」
「極楽浄土みたいね」
「民の家の竃から煙が上がらぬのを見て、帝は租税を免除し、労役も無くした」
「ああ」
政子は頷く。仁徳帝の有名な話だ。
「伝承だから真実は知らぬがな。だが真理はある。民の為に動く者は人にも天に味方される。将門公も然りだ。ただし、私欲の為に動き出した途端に天運は尽きる。私はそう思う。天は、より多くの者の為に動く者が、より多く栄えるよう仕向けているのだ」
「ああ、もう、話があちこちに飛んでわからないわ」
眠くて眠くてたまらない。寝かせて欲しいのに寝かせてくれない。
「あなた、女の人を抱く時はいつもこんなだったの? よく呆れられなかったわね」
ため息まじりにそう言ったら、頼朝は苦笑した。
「こんな話、するわけなかろう。綺麗だ、美しい、切ない、そんな話ばかりだったぞ」
「じゃあ何で私にはするのよ」
「したいからするのだ。そなたとはこんな話をもっとしたい。でももっと愛したい。だから両方同時にするのだ」
そして、また頼朝は政子の胸に顔を埋める。
「人は生かされているのだ。仏によって、人によって。だから、そなたは一人ではない」
「もう本当に、いい加減にして」
政子は意識を手放した。好きにすればいい。身体を満たすひどい倦怠感と、それから充実感に、政子は素直に身を委ねた。

 

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