menu
閉じる
  1. イザヤ!鎌倉「江間家の段」3(My wife’s mirror:吾妻鏡…
  2. 『 腑抜けの三郎 』 ―北条重時―
  3. 流鏑馬神事(海野幸氏と大姫・後編)
  4. 竹御所、若紫源氏を拾う(鞠子と三寅)
  5. 『アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 』北条家血 お知らせ
  6. イザヤ!鎌倉「江間家の段」1(My wife’s mirror:吾妻鏡…
  7. いもうと(頼朝と政子)
  8. 連載は3月で完結。4月いっぱいで下げます。<アマカケル>
  9. アワの夢『 北条政子の夢買物語 』
  10. 竹御所、若紫源氏を育てる(鞠子と三寅)
閉じる
閉じる
  1. 腑抜けの三郎―北条重時―12
  2. 腑抜けの三郎―北条重時―11
  3. 腑抜けの三郎―北条重時―10
  4. B’zコンサート音漏れとAugustRush、安室奈美恵ラストライブ
  5. 腑抜けの三郎―北条重時―09
  6. 腑抜けの三郎―北条重時―08
  7. 腑抜けの三郎―北条重時―07
  8. ちびまる子ノスタルジーと愛を込めた映画こけし(こきおろしの略?)
  9. 小栗は好きだが龍馬が嫌いに・・・島津イケメンTOP3
  10. 腑抜けの三郎―北条重時―06
閉じる

頼朝好き・北条数寄FanSite「あづまがたり」

琥珀の龍紋―北条時政―1<アマカケル外伝>

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 
 
 伊豆は龍の国。千般の龍が野山を飛び交い、地に潜り大地を鳴動さす。

 雲は龍の吐息。その形を見れば、龍がどこに向かったかどこから昇ったか、憤っているかまどろんでいるか、全てが知れた。

 だから四郎は、いつも空を見上げていた。

「琥珀の龍紋 ―北条時政―」
   <アマカケル北条の姫 ― 外伝 ―>

「そう見上げてばかりだから、背が伸びないのよ」

 同じ年の従姉妹にからかわれ、仕返しに足を踏んでやる。

 が、逆に背に回られ腕を吊り上げられ地に落とされた。たちまち始まる大喧嘩。止めるのは四郎の兄の役目。

 身体が大きく弓も強く、武に優れているくせに気が優しくて穏やかな兄は四郎の自慢でもあり、また決して越えられぬ大きな壁でもあった。

「ほら、かかってこい」

 木刀の稽古など何度やっても敵わない。不意打ちも騙しうちも効かぬ隙のないその存在に、四郎は早々に木刀を放り出してうそぶく。

「今時、武なんか鍛えても仕方ないさ。都では伊勢平氏が貴族にうまく取り入って力を伸ばしているんだ。これから必要なのは交渉力だよ」

 すると兄は笑って腕を伸ばし、四郎の首を締めにくる。

「武家に求められるのは、どこまでいっても武力さ。西国はどうか知らんが、東国は荒くれ者ばかりだからな」

 四郎はさっと重心を下肢に下ろすと兄の腕をかいくぐり、その太い手首を掬い取った。

「どうだか。東国だって今に伊勢平氏が手を伸ばしてくるぞ」

 柔術で手首を極め、その身体を肩から斜めに投げ落とそうと試みるが、岩のように固く重い兄の身体は思い通りには崩れない。

「源氏がそうはさせないさ。義家公の時代からここは武士の国だからな」

 子供を相手にするような楽し気な響きを含めつつ、兄は極められた手首に逆に重みをかけてくる。実際、兄にとっては四郎の力など子供のそれと同じなのだ。

 四郎は投げは諦めると兄の手首を捻じ上げ、ようよう間合いを確保し振り返った。

「武士の国って言ったって、結局は都で任官された貴族の手下が偉そうな顔してやってきて好き勝手言うだけじゃないか。そんな手下にへいこら頭下げて尻尾振って貢物して、やっとお情けで役を目零ししてもらうなんて、いつまで続けるんだよ」

 構える手刀の先、兄は悠然と腕を組み、静かに微笑んだまま首を傾げた。

「そうだな。お前は頭がいい。人の心を読むのも上手なら話も上手い。村同士の諍いも大半はお前がうまく収めているじゃないか。確かにこれから大事なのは交渉術なんだろう。共にこの北条の地を守って大きくしような。頼むぞ」

 大きな掌が頭を撫でようと近づくのを、ぱっと撥ね退けてそっぽを向く。

「俺は北条なんか目じゃないよ。京で出世するんだから。まぁ、でもそうしたら兄さんの為に官位を取ってきてやってもいい」

 今は狩野一族に取られている伊豆介。あれを取り返してやる。別に俺は官位なんていらないけど、でも兄は喜ぶだろう。そうしたら父だって俺を認めざるを得ない。そうだ、兄さんばかりでないと見返してやるんだ。

 四郎は自らの野望を、崖の上に立ち昇る紫の龍に誓った。

 

次ページ

歴史小説リスト

関連記事

  1. とかじり小四郎 ―北条義時―3

  2. 琥珀の龍紋―北条時政―あとがき<アマカケル外伝>

  3. 『 腑抜けの三郎 』 ―北条重時―

  4. 北条政子の夢買物語 17

  5. 琥珀の龍紋―北条時政―33<アマカケル外伝>

  6. 北条政子の夢買物語 23

おすすめ記事

  1. 『 腑抜けの三郎 』 ―北条重時―
  2. イザヤ!鎌倉「江間家の段」3(My wife’s mirror:吾妻鏡・妄想誤訳)
  3. イザヤ!鎌倉「江間家の段」1(My wife’s mirror:吾妻鏡・妄想誤訳)
  4. 竹御所、若紫源氏を育てる(鞠子と三寅)
  5. 『アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 』北条家血 お知らせ

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

Amazon 出版物(電子書籍)


捕えられ鎌倉へと送られた白拍子は、八幡宮での舞に呪をこめる。男児を殺され奥州を目指すも辿り着いたのは蝦夷だった。静御前の話。(中編)


木曾義仲の息子・義高が逃亡した。その身代わりとなって牢に繋がれた海野幸氏と、彼を助けようとする大姫の話。(短編)

ポチで応援おねがいします

にほんブログ村 歴史ブログへ にほんブログ村 小説ブログ 歴史・時代小説へ
ブログランキング・にほんブログ村へ

おすすめ記事

  1. 腑抜けの三郎―北条重時―12
  2. 腑抜けの三郎―北条重時―11
  3. 腑抜けの三郎―北条重時―10
  4. B’zコンサート音漏れとAugustRush、安室奈美恵ラストライブ
  5. 腑抜けの三郎―北条重時―09
ページ上部へ戻る