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琥珀の龍紋―北条時政―最終話<アマカケル外伝>

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――鎌倉、江島。

 北条四郎時政は、江島の洞窟にいた。黒々と真っ暗な口を開ける底なしの洞。地元の漁民からは龍の穴と呼ばれている聖なる場所だった。

 だが、四郎には根の国への入り口のように見えた。ここを辿っていけば、伊邪那岐のように伊邪那美と会えるのだろうか。

 逃し、生き繋いだ子らは、その後挙兵した。

 源義賢の子、頼政の養子となっていた仲家は、平家の打倒を以仁王と共謀し、頼政と共に討たれた。

 同じ源義賢の子、四郎が畠山重能に掛け合って逃した駒王丸は、木曽で挙兵し京へとのぼるもその後京を追われて討たれた。

 そして源義朝の嫡男、頼朝は……。

 生き延びた子らは、生き延びた理由を求めずにはいられないのだろう。静かに暮らすなど自分には赦されないと思うのだろう。

 では、太郎は?

――ぴちゃん。

 鍾乳石の先から冷たい雫が垂れ落ちる。四郎の首元を冷たく濡らした。四郎はそっと目を瞑る。

 ああ、太郎もきっと、その時を待っている。

 

 松明をかざして、祠の奥の奥を覗き見る。耳をすませる。

 江島の洞は伊豆、富士の祠と通じているらしい。中には人を喰う龍がいて、火山や地震、日照りや台風などの天災を引き起こすと地元の民からは怖れられていた。

 だが、龍は我らの祖先。会えるものならば会いたい。そして阿岐に……

 その時、低い声が鍾乳洞の中を響いた。

「それ以上は進まれぬ方がいい」

 振り返れば太郎がいた。

 いや、廃嫡した太郎は、今は金太という名で側に仕えていた。

 黙ったまま肩を竦め、元来た道を戻る。

 ふと、洞内の空気が動いた。コゥ……と島が息を吸い込む気配。手にしていた松明が軽やかにかき消される。

『上ばかり見てるから背が伸びないのよ』

 阿岐の声が聞こえた気がして足を止める。

 気づけば、きらきらと煌めく琥珀色の石が三つ、足元に落ちていた。

「龍の鱗か」

 それを拾おうと身を屈め指を伸ばして気付く。光が床に描いた模様だった。

 頭上を見上げれば、鍾乳洞の割れ目から陽の光が差し込んでいた。その向こうの空の色を見ようと目を眇める。

「願はくは……」

 願いが叶うならば……

 そう唱えたら、金太が微かに鼻を鳴らした。

 冷血で神仏に願うこともしない男が何を願うというのか、そう言いたいのだろう。

「おかしいか」

 笑みが零れる。

「願はくは、北条が末代まで富み栄えるよう。龍神よ、聞き届けてくれ」

 はっきりと声にする。

 祠の奥に向かって風が吸い込まれていく。それを確認して時政は出口へと足を向けた。

 俺は桃など置かぬ。追いかけてこい。俺を喰い、力を取り込んで天へと翔けろ。

 俺の龍よ。

 

―― 終 ――

 

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