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琥珀の龍紋―北条時政―11<アマカケル外伝>

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「北条四郎時政殿」

 父の字だ。東国の武士の中には武芸ばかりで手習いを疎かにする者も多かった。都からの書状が届いても家人の誰かに読ませ、返事も口述で事済ませていた。

 でも父や北条の縁戚、阿多美の一族は武よりも教養を大切にし、都との繋がりを絶たぬよう努めてきた。だから伊東や千葉、畠山など広い土地を治め、大きな勢力を持つ豪氏にも一目置かれる存在として対等に付き合ってこられたのだ。

 だが、父がわざわざ京の四郎に宛てて文を書くなど、何か重大事が起きたのだろうか。

 焦る気持ちを堪えて文を広げれば、時候の挨拶に続いて、兄が北条を継いだこと阿岐を妻に娶ったことが簡潔に書かれてあった。

 息が詰まる。

 間に合わなかった。

 京に上って、まだ一年しか経っていないのに。

 何故これほど急な相続となったのか。父の容態はそんなに悪くなっているのか。そうだ、家督相続の為に婚姻を急いだのかもしれない。

 でも、文には京の様子などをもっと頻繁に知らせるよう書いてあるくらいで、字も落ち着いて力強かった。

 結びまで読んで、ぐしゃりと握りつぶす。

 何故なのかといくら考え、そしてどんな答えが導き出されようと何の意味もない。阿岐は兄の妻となったのだ。

 

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