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琥珀の龍紋―北条時政―14<アマカケル外伝>

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 そんなある日、懐かしい言葉を耳にして四郎は足を止めた。

「もう、やっきりしちゃう!」

 振り返れば、牛車の中から転がり落ちたと見える荷を拾い集めているらしい女房が、怒り心頭で叫んでいた。

 やっきりとは、腹立たしいの意味で使う伊豆や駿河地方の方言だ。

 足元まで転がってきたそれを幾つか拾い、牛車まで届けることにする。

「あ、おーきに……」

 女は僅か不自然な京言葉で呟くと顔を赤らめて下を向いた。女房というにはまだ幼い少女だった。都にあがって間もないのだろう。

「こんこばに、けけときゃいいか?」

 そう口にした途端、少女の顔がぱっと輝いた。こばは隅、けけとくは乗せるの意味だ。

「あなた、伊豆の人?」

 四郎が頷くと、少女は牛車の中に向かって声を張り上げた。

「菖蒲様、伊豆の方ですって!」

 牛車の中の空気が揺れる。衣擦れの音と共に漂う薄甘い花木の香。三嶋大社の金木犀の香を思い出す。

「伊豆のどこなの? いつ都へ? あ、私は香菜。あなたのお名前は? どこに住んでるの?」

 矢継ぎ早に浴びせられる質問。面食らったまま四郎はとりあえず荷を牛車の端に置かれていた籠の中へと戻す。

「香菜、お声を落として。はしたないですよ。まず御礼は申し上げたの?」

 主の声に、少女は慌ててぺこりと頭を下げた。

 牛車の中の声ははんなりと優美で、でも懐かしい音と律に溢れていた。陽の香りがした阿岐の髪を思い出し、四郎はそっと横を向く。

 やはり、逢いたい。

「あら、あなた」

 ふと御簾が動く気配に、慌てて腰を落とし顔を下向ける。

「もしや、北条の四郎君じゃありませんの」

 牛車の中にいたのは、幼い頃遊んで貰った記憶のある近所の姉やだった。

 

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