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琥珀の龍紋―北条時政―22<アマカケル外伝>

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 左右の襟に指をかけ、強引にはだけさせる。薄闇の中、なだらかな肩が白く浮かびあがる。真っ直ぐ美しく伸びる鎖骨とその下に畝る双丘。袖は抜かず、脇に手を入れて顔を埋めた。

「四郎、やめて」

 声と同時に喉と鎖骨の間に阿岐の指がかかる。急所だ。強く押されれば呼吸が止まる。

 四郎はゆっくりと目線を上げた。目と目が合う。

「俺のことが嫌いか」

 目を僅か細めて女を見る。

「そんなこと、あるわけないじゃない」

 予想通りの答えに満足し、内心ほっとして片方の口の端を上げる。

「なら、義弟を受け入れるのも兄嫁の役目だろう?」

 意地悪な調子で口にすれば、阿岐は唇をくい締めて横を向いた。張っていた力が抜ける。それを合図に女の身体へと攻め入った。

 『兄を愛しているのか』とは聞けなかった。聞かなかった。それを聞いたら動けなくなることがわかっていたから。ひどい仕打ちをしていることは誰よりも理解している。

 肌を啄み、柔らかな膨らみの先端で桃色に尖る乳首を指で弄ぶ。帯も解かず脚の間に自らを割り入れる。日に焼けぬ白い太腿が薄明かりに照らされて仄青く光るのを撫で擦れば、甘い吐息があえかに唇の隙間から漏れた。

 あれからさほど時も経たぬのに、阿岐の身体は女のそれになっていた。その事実が四郎を更に苦い想いにさせる。

 声をあげないよう懸命に口元を覆う指が細く長い。その白い手の甲に口付けると、四郎はそっと腕を伸ばした。文机の上に置いていたそれを掴んで阿岐の目の前に差し出す。

「京のみやげだ」

「鏡……? 綺麗だわ」

 阿岐は僅か口元を緩めて礼を言い、それから「でも……」と続けようとした。その言葉を奪うように阿岐の肩を掴む。袖から左の腕を引き抜いた。はだけた着物の下、左の乳房の柔らかく白い中腹に唇を当て、強く吸う。

「痛い、やめて!」

 身を捩って逃れようとするのを許さず、しばししてやっと離す。

『みやげなんかいらない。それより早く帰って来てほしかったのに』そう言おうとしたのだろう。

 四郎は上体を起こすと阿岐の手の中に残ったままの鏡をその手ごと掲げさせ、そこを映す。

「見ろ」

 胸元にくっきりと残る小さな紅い痕。それを見た瞬間、阿岐の顔が歪んだ。

「何でこんなこと、ひどい……!」

 ぼろぼろと溢れる涙。

「俺のものだ。お前も、太郎も」

 兄に触れさせたくない。

「なら、どうして帰ってきてくれなかったのよ。待ってたのに!」

 その声は熱くくぐもっていた。

「謝る。文を見ていなかった」

 瞬間、阿岐は大きく目を見開き、それから拳を握りしめて、どん、と四郎の胸を叩いた。

「また空ばっか見てたんでしょ! ちゃんと見てよ、見なさいよ! ひどいわよ!」

 両の拳が何度も胸を叩き、それから上に伸びて肩から首に回される。豊かな長い髪が四郎の鼻先を掠めた。四郎も腕を回す。しっかりと抱きとめる。

「絶対にお前は取り返すから」

 まだ、やり直せる。

 

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