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琥珀の龍紋―北条時政―29<アマカケル外伝>

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 それから半年以上、表面上は何事もなく時が過ぎた。

 新帝の即位と婚姻。守仁親王の親王宣下と婚姻。華やかな祝賀の雰囲気の中、鳥羽院の后であった待賢門院と美福門院それぞれの後見勢力が一つの方向へとまとまりかける。

 だがその夏の初め、鳥羽院は病に倒れた。その病床に呼ばれたのは公家らではなかった。北面の武士らが美福門院への誓文を書かされる。平清盛、源為義など、崇徳院に味方をしそうな武士には特に内々の沙汰があったという。

 鳥羽院は武力をもって崇徳院を弾圧するつもりなのだ。

 政治的な駆け引きではなく、直接的な武力を行使するつもりであるという鳥羽院の明白な意志は、四郎を、いや都中の武士の血を滾らせた。その興奮は彼らの領土にも広まっていく。

 関東は鳥羽院に近侍する源義朝によってほぼ掌握されており、武蔵、相模、信濃の武士らは兵を整え続々と京を目指していた。

 西国は平清盛率いる伊勢平氏の支配がいよいよ及んでいたが、まだ彼がどちらにつくのかが不透明だった。

 清盛が動く方、金が動く方に勢いが流れることが明白だっただけに、彼がどちらに与するかが取り沙汰された。だが清盛らの心は既に決まっていた。今上帝の側近の信西は異様に頭が切れる。彼を敵に回すのは得策ではない。また戦上手の源義朝が同陣営にいるというのも大きな理由となった。

 京の都には続々と武士が集まりつつある。乗り遅れるわけにはいかない。四郎は急ぎ伊豆へと向かうが、韮山の北条は通り過ぎ、伊豆半島南で最大勢力を持つ狩野の館を訪れてから北条へと戻った。

 そこで先日のことを思い出して僅か気が咎め、門で番をしていた家人に声をかける。

「父は館におられるか?」

「大殿は三嶋にお出かけで、夕刻お戻りの予定です」

 では、夜まで外で時を潰したほうがいいだろう。馬を引いて狩野川へと向かった。狩野川の水位は常より大分低い。今年も日照りなのだろう。それでも清流が爽やかな音を立てて小石の上を跳ねていく。

 ふと気付くと川辺を幼い子がしゃがんでは立ち、手にした棒で地面を突っついて歩き回っている。虫を追いかけるのに夢中になっているようだが、川がすぐ脇にあるというのに大きな子も誰もついていないようだった。

「危にゃあぞ」

 声をかけたら、その子がぱっと顔を上げた。阿岐に似た、くりくりと大きな瞳。

「太郎じゃないか。お前一人か」

 驚いて近寄ると、太郎は首を傾げて立ち上がった。

「おじさん、だれ?」

「ああ、太郎のじんじぃじの子だ。つまり、お前の叔父だよ」

「おじ?」

 四郎が頷いたら、太郎がぱっと駆け寄った。四郎の手を取って走り出す。

「太郎?」

「おぉじ、にげよう。ははうえに見つかる」

 小さな手に手を引かれ、四郎は林へと向かった。

 

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