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琥珀の龍紋―北条時政―2<アマカケル外伝>

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 しばらくして、その機が来る。具合を悪くした父の代理で、四郎が役に就くことになったのだ。

 京へ上る日の前夜、四郎は馬を駆けて峠を越えた。白くない肌、黒くない髪、けして美人ではない、おまけに自分よりも背の高い従姉妹を睨みつける。

 彼女も何も言わず睨み返してきた。その目が赤いことが四郎の胸を抉る。

「京に行く。相応の身分を賜って戻るから」

 だから。

 その先は続けなかった。

 彼女は一瞬息を引いた。落ちる瞼と同時に溢れて落ちる大粒の涙。だが、ややして口を開いた彼女はいつもの小憎らしい彼女だった。

「ついでに背が伸びる薬も賜ってくればいいのよ」

 月光を反射する長い髪に指を絡ませ引っ張る。憎まれ口を叩く唇を塞いでうなじに手を沿わせる。

 いつも喧嘩ばかりだった。初めて触れ合う唇は、普段見せる尖った形から想像されるそれとはまるで別物だった。まろく柔らかく、じっとりと熱く、重く甘やかに吸い付く。

 離れがたさに、もう一息と吸い込んだ瞬間、目の奥で光がちりちりと煌めき、鼻がつんと焼かれた。

 一瞬、意識が飛び、四郎は眼前に自らと彼女の姿を俯瞰する。雷に打たれたのかと思ったが違った。

 天から龍が二人を目掛けてなだれ込んでいた。頭頂から血の管をどぅどぅと巡り、足の裏から地中深くへと潜り込む光の帯。

 跳ね踊る龍が起こす竜巻のような奔流に四郎は溺れた。無我夢中で柔らかな肌を吸い、気を吸う。

 自らの熱を押し込もうと侵入を試みるが阻まれる。跳ね返される。厚い壁に押し戻されるのを無理に割って入る。

 ぎちぎちと鳴るのは何の音か。蛇は獲物を殺す時、逃げぬようきつく締め上げそのまま丸呑みするという。もし彼女が蛇ならば、このまま殺されるのもいいかもしれない。

 恍惚とはこれか。意識を手放しかけ、慌てて目を見開いた四郎は、光が渦を巻いて溢れかえる空間に立っていた。

 そこに静かに佇む琥珀の龍。その透き通る目と目が合う。

 明らかに意志を持ったその瞳が、うっすらと細く三日月を形作った瞬間、四郎の中で何かが弾けた。導かれるままに全てを放出する。

 

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