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頼朝好き・北条数寄FanSite「あづまがたり」

琥珀の龍紋―北条時政―34<アマカケル外伝>

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 北条の館に戻ったのは日も暮れた暑い夜のことだった。峠から遠目にもたくさんの松明が揺れ走るのがわかり、父と顔を見合わせ無言で馬の足を速める。

「若殿! 太郎君!」

 老いて戦に参加出来なかった家人達が松明を手にあげる声を聞いて、四郎はぞっと背を震わせた。

――やはり兄が戻っている。

 近隣の村々からも人がたくさん出ているようだった。田の畦を走り回る火は秋の祭りのように明るく、だが兄や太郎を呼ばう声がぴりぴりと尖って、汗に濡れた四郎の背を冷たく突付いた。

 母屋の前庭、女房に支えられた阿岐の姿を認め、駆け寄る。

「一体なんの騒ぎだ。三郎はどこへ。太郎がどうしたのだ」

 父が問うのに阿岐が真っ青な顔を上げる。

「殿が急に太郎を連れてどこかへ……」

 かっと頭に血が上った。馬の鞍につけていた太刀を手に取り、門へと駆け出す。

「太郎を取り返してきます」

「四郎、待て!」

 父の制止の声を無視して、四郎は林へとまっすぐ向かった。

 

「ゲタゲタゲタ」

 蛙達が煩く鳴いている。ことに牛蛙がからかうように嗤う声が重く低くて煩い。常ならば人の足音で鳴き止む癖に、今夜は譲る気がないようだ。

 兄は必ずこの林の中にいる。その四郎の考えは間違っていないようだった。兄の重い身体が踏み荒らした草々の跡。真っ暗な林の中、たまに差し込む月の光からそれらを辿って走る。幼い頃、共に隠れん坊をして遊んだ林の中。

 ふと思う。どうして自分は太刀を持ってきてしまったのか。兄に敵うわけもないのに。鎧すら身につけていない。

 そして今更ながらに思う。勝敗が決した段階で四郎一人でも伊豆にすぐ戻り、兄を待つべきだった。

 兄もだ。どうして父の言いつけ通りに館で身を潜めて待っていてくれなかったのか。どうして馬で逃げなかったのか。もっと北へと、奥州へと逃げてくれなかったのか。何故、こんな小さく狭い林の中に逃げこむ。それも太郎を連れて。

 辿り着く答えは一つ。

 恩赦のないことを知ったのだ。

 何をしようとしている。太郎を人質にするつもりか。それとも……

 嫌な予感に胸を締め付けられ、木々の下葉に足をもつれさせながら、四郎はひたすらに走り、そしてそこに辿り着いた。

 

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