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琥珀の龍紋―北条時政―38<アマカケル外伝>

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「何を、お前が謝ることがある」

 問えば、阿岐は横を向いた。きゅっと唇を噛み締め、壁を睨みつける。

「太郎を守れなかった。三郎殿を隠し通せなかった。それに……四郎を待てなかった。弱かった」

「弱いなんて当たり前だ。お前は女だろ」

 そう言った途端に頬を張り飛ばされる。

「都の女と一緒にしないで。私は阿多美の女よ」

 館中に響き渡っているだろう音と声。結婚初夜にあるまじき。確かに並の女ではない。

 阿岐は興奮したままの声の大きさで続ける。

「大殿だってわかってるわよ。四郎の腕で兄を倒せるわけないって。本人が死を選んだんだって。ただ自分を責めているんでしょ。狩野殿に自分が付いてしまったこと、二人を分けてしまったことを。だっていつも言ってたじゃない。二人は足して半分にしたら丁度いい。兄弟で力を合わせて生きろって」

 屋根を叩く雨の音。先程まで晴れていたのに。

 父も今頃雨を降らせているのだろうか。

 四郎は小さく息を吐いた。肩に入っていた力が抜けていく。眼の前には、真っ赤な目をして肩で息をする勇ましい女が一人。その膝の上の拳がぶるぶると震えている。

 夕刻、小さな火を灯され、供に手を引かれて白い姿で現れた彼女はとても美しかった。何も考えず、ただ夫婦として側にいられたらどんなに幸せかと思った。

「太郎は生きている。もうそれだけでいい。きっと生まれながらに親に縁の薄い子なのよ。でも大丈夫。愛される子だから。図太く逞しく生きてくれるわ」

 外の雨音は激しさを増していた。阿岐の涙なのだろう。

「だから、私達は守っていきましょう。父上の分も兄上の分も太郎の分も、ここを」

 誓う。

 神にではなく仏にではなく、好いた女に誓う。北条を守ると。

 雨は一晩中ずっと強く降り続け、だが明け方にからりと上がった。

 収穫を間近に控えた黄金の穂が雨に濡れてしっとりとしなだれるのを見て、初めて美しいと思った。ここは美しい土地だ。空を見上げれば薄雲の向こう、子供の龍が跳ねて遊んだ跡が白くちらほらと残っていた。

 

 阿岐の懐妊がわかったのは程なくしてのことだった。兄の子かもしれないとふと思ったが、それが却って救いになる。兄の血が入っていればいいのにと思う。

 ただ太郎を想った。生まれるのが男の子なら嫡男となる。太郎はきっとその子を赦さないだろう。

 

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