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琥珀の龍紋―北条時政―40<アマカケル外伝>

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 京の春は華やかだ。だが、この春の都はどこか尖りと歪みを内包していた。それは保元の乱を制した後白河帝とその側近の強硬な政策によるものなのかもしれなかった。

 全国の荘園が記録整理され、天皇の公領として、だがその実態は権力を握るものの手の中へと落ちていった。その筆頭が信西だった。

 保元の乱以降、信西の政治手腕は凄まじいまでに発揮され、その効力は全国へ広がっていった。辺境の地方においてもそれは同様。源為朝の反乱だといくら言葉を連ねようと、税の遅滞の言い訳として許される見込みは薄いだろう。

 四郎は頭を悩ませていた。何と言えばいい。何を代わりに差し出せば許される?

 

 かたん、と音がして振り返ると鏡が落ちていた。阿岐に渡したみやげの鏡。出発の朝、お守りとして持って行けと渡されたものだ。拾おうと手を伸ばしたら、白い手と手が触れた。

「四郎」

 柔らかい声。阿岐が鏡を手に小首を傾げ、四郎を見つめていた。

「阿岐?」

 お前はどこに居ても美しい。伊豆でも、京でも、光に溢れ、生に溢れ……

 だが、ぞっと背が震える。

「何故、ここにいる」

 いるわけがない。こんな所にいる筈がない。まだ、子も生まれておらぬ筈。

 答えはなく、代わりに困ったような顔で首を傾げる阿岐。

「ごめん。悪かったわ。申し訳ない。赦して」

 脳裏に浮かぶ、初めて阿岐を抱いた日。

 すまない。申し訳ない。謝る。反省している。赦してくれ。本意ではない。

「……どうして、謝る」

 声が掠れる。

 すると阿岐は、ああ、と手を合わせて口を開いた。

「ありがとう」

「……なんの礼だ」

 これは夢だ。夢を見ているのだ。誰か俺を起こせ。起こして夢だと教えてくれ。懸命にそう祈る。

「太郎と、あと、姫のことを頼むから、だから……」

「ありがとう、じゃねぇよ!」

 口から出た言葉が金切り声のように頭に響く。

「だって間に合いそうにないから言っておかなきゃと思って。でも文には書けないし、だから」

 そこで、阿岐の姿と声はぷつりと途絶えた。掻き消える気配。辺りに残る魂の断片。

 馬を飛ばして乳兄弟が知らせに訪れたのは、直後のことだった。

 

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