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琥珀の龍紋―北条時政―4<アマカケル外伝>

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「あ」

 しまった。そう思ったが、もう遅い。

 強力な張り手が飛んでくるのを甘んじて受けようと目を瞑るが、予想に反して攻撃はいつまで経っても飛んでこなかった。恐る恐る目を開ければ、あろうことか彼女は泣いていた。

 萎える。自分の愚かさに心底萎える。どうしてこんな日まで張り合わないといけない。

「あの、ごめん。……悪かった」

 すまない。申し訳ない。謝る。反省している。赦してくれ。本意ではない。どんな言葉も多分足りない。こういう時、一体どう言えばいいのか。

 過去に摘み読みした源氏物語など女好きのする物語に書かれていた男女のやりとりを懸命に思い起こしながら急場を凌ごうとする。が、慌てるとろくなことがない。

「ありがとう」

 次に口から飛び出た言葉に、彼女はぽかんと口を開けた。四郎も言葉が続かずに硬直する。

 しばしして沈黙を破ったのは彼女の方だった。取り払われた着物も、露わなままの自分の肢体も構わず、四郎の両肩を掴んで爪を立てる。

「何に対する礼よ?」

 声が低いのが余計に恐い。普段は高い声でぎゃんぎゃんとまくし立てるのに。

「私のこと商売女とでも思ってるわけ? 京に行く前に一発やらせてくれて有り難いって?」

「違う。そうじゃない」

「何が違うのよ! ありがとうって失礼だと思わないの!?」

 声の調子が上がる。四郎の声も強くなった。

「違うって! ここに今お前がいて、俺を受け入れてくれたこと、目が綺麗なことに感謝したんだ。痛いだろうに我慢してくれたことが嬉しかったんだ。一発やらせてくれて有り難い、なんてあるわけねぇだろ!」

 今ここで喧嘩別れなどしたくない。会って数言話せばすぐに喧嘩になる二人だった。技は掛け合ったが、手を握り合ったことはない。肌を触れ合わせたこともないが、遠くからでもいつも目は合った。

 なのに次はいつ会えるかわからないのだ。これが今生の別れになるかもしれない。

 咆えた反動でしんと静まり返る森。やりきれない気持ちで四郎は天を見上げた。月には薄雲がかかってきていた。

 

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