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琥珀の龍紋―北条時政―5<アマカケル外伝>

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 月光が薄くなると山々の稜線も霞む。山に囲まれた阿多美の地。祖先が根付いた土地。たくさんの龍達のねぐら。今頃、龍達は密かに鼻で嗤いながら事の顛末を見守っているに違いない。

「ごめんなさい」

 白く滑らかな腕が鼻先を掠める。広がる甘い花の香り。ずっと触れたいと思っていた豊かな長い髪がさらさらという音と共に四郎の肩から腕へと流れ落ちた。

「わかってるわ。ごめんね、ごめんなさい」

 どうして彼女が謝るのかよくわからなかったが、耳元で紡がれる甘い声をずっと聴いていたくて、四郎は返事の代わりに彼女をそっと抱きしめた。

 背は負けるが、腕の太さも肩の広さも、首の付け根、腰のくびれ、全てが細く弱々しく、儚く美しかった。

 だが、四郎の裸の胸に押し当てられた異様なまでに柔らかな二つの膨らみに困惑する。

 なんだ、これは。普段の彼女が発揮する怪力、その手指の強さからは到底想像がつかぬ不可思議な弾力に四郎の頭は沸騰した。

 身体中の血が逆流し始める。下半身へ凝縮する熱い塊。

 慌てて腰を浮かして逃がそうとするが、首に回された白い腕によってその動きは阻まれた。

「お願い、まだ行かないで」

 四郎が去るのかと思ったのだろう。渾身の力でしがみつく彼女。危うく首が締まって落とされる所を何とか踏みとどまる。

 しかし、それより問題なのは制御不能に陥った自らの身体だった。

「大丈夫。夜が明けるまでいるから」

 安心させようと努めて大人びた口調で告げつつ、これは拷問かと天を仰ぐ。嘲るように瞬く星が恨めしい。

 この状況でどれだけ我慢が続くかは知らないが、耐える以外にないだろう。男の見せ処というべきか、僧の気分にでもなって経を唱えるべきか。

 その時、彼女の手が四郎の血の一番集まった部分を掠め、それから包むようにして触れてきた。思わず呻いて飛び上がる。

「阿岐、お前っ、何すんだよ!」

 動かなければ、意識して触れなければ何とかなだめることも出来たかもしれないのに。

 勢い、放り出された形になった彼女は、唇を一瞬噛みしめると真っ赤な顔で四郎を睨みあげた。

「なんで抱かないのよ!」

「なんだと?」

 いつもの喧嘩口調に、反射的に眉を上げて言葉を返すが、告げられた言葉の意味が後から追いついてきて、四郎は狼狽する。

「え、だって……」

 痛いだろう?

 言外にそう伝えるが、彼女は首を横に振った。

「だって明日からいなくなるんでしょう? 四郎が足りなくなる。絶対足りなくなるわ」

 好いた女の殺し文句に、抗う術など持ち合わせている筈もない。

 もう言葉もなく、互いに腕を伸ばして相手を求めた。

 痛みに呻く姿に胸が痛くなるが、同時に痛みを堪えるその声が劣情を更に高める。相反する自身に戸惑いながら、四郎はひたすら最初のあの恍惚の瞬間を目指して動き続けた。

 

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