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琥珀の龍紋―北条時政―6<アマカケル外伝>

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 どのくらい経ったか、突如空気を震わせた梟の声で我に返る。羽音はないのに何物かが飛ぶ不気味な気配に背がぞっと震える。

 それは彼女も同じようだった。身体の下敷きになった草が起きる音さえ立てぬように体を強張らせている。

 しばしして虫がまた静かに鳴き始めてから、彼女はそっと四郎の耳に口を寄せた。

「文を書いてね」

 滲む不安の色。頷きかけるが、歯を食いしばって首を横に振る。

「書かない。早く戻るから」

 じゃあ、私も書かないんだから。

 悔しそうに悲しそうに歪む唇を割り、熱い吐息を吸い込む。また肌を重ねる。

 芽生えた不安を早く拭い去りたかった。夢中で自分を叩き込む。懸命にしがみつく彼女の熱を吸い取る。

 だが、最初の時のような光の奔流はついぞ現れず、冷たい汗ばかりが流れぬめった。

 互いに互いを手放せないまま、月が西の彼方に沈み空が白んで星が薄く消えゆくまで二人は一つになって草の上を転げ回った。

 

リビドーロゼ

 

 木立を抜けたら眼前に大きく富士の山が迫っていた。裾野まで来たのだ。雲は山頂を避けるように中腹を漂い、ぽっかりと白い頭が天に突き抜けている。

 ここまで来てやっと四郎は顔を上げて空を見ることが出来た。東西に真っ直ぐ伸びる太い龍の雲。堂々とした姿にほっと息をつく。

 身体はくたくたの筈だったが不思議とよく眠った朝のように力が満ちていた。頭も冴え渡っていた。そして今、富士の山と龍を見て不安も消え去り、心も落ち着いた。

 伝えるべきことは伝えたのだ。あとは進むほかない。

 龍の首が向く方へ馬の首を向け、一声鋭く吼えると四郎は一路京を目指して駆けた。

 時はほとんど残されていなかった。

 阿岐は兄の妻となることが半ば決まっていた。それを覆す程の功を上げて戻らなければいけない。

 

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