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琥珀の龍紋―北条時政―8<アマカケル外伝>

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 転機が訪れたのは京に上がって大分時が過ぎた冷たい雨の夜のことだった。

 ある貴族の牛車が都の外れで立ち往生し、野盗に襲われかけた場に行き会ったのだ。

 野盗と言っても老いて痩せこけた小男二人。四郎が一喝し腰に差していた長物の柄に手をかけただけで、風に煽られた古いむしろのように、さぁっと飛んで逃げていった。

「なんだ、あれは」

 よくよく男らの後ろ姿を見ると、彼らが手にしていたのは今にも折れそうな細い木の枝。

 都には薪にするような丸太すらないのか。奥歯を食いしめれば、口の中にたまった砂埃が苦い音を立てた。

 小路の端で傾いて往生していたのは、見たこともないくらい立派な牛車だった。

 下手な邪魔などせず、先程の野盗達に多少は追い剥ぐ機会を与えてやれば良かったかなどと不穏なことを考えてしまう。

「若様」

 牛車の横で震えていた男が声を上げ、四郎は慌ててその不穏な考えを頭から追いやった。牛車がきしむ音がして一人の男がおりてくる。

 礼を言いに牛車から下りてきたのは一人のまだ若い男だった。

 たまに目にすることのある貴族の男達とはどこか何かが違う。その理由はすぐにわかった。

 

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