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頼朝好き・北条数寄FanSite「あづまがたり」

頼朝&北条氏に想いを馳せて江ノ島♪3

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行って来ました。江ノ島その3。

さて、江島神社、辺津宮近くの奉安殿に
「裸弁財天」さまと一緒に祀られている「八臂弁財天」さま。
こちらは、頼朝さん奉納のものです。

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「八臂弁財天」は戦の女神。
その八本の手に、弓、矢、刀、矛、斧、長杵、鉄輪、羂索(けんさく・投げ縄)を持って、いつでも戦えるぞと構えてます。

『吾妻鏡』によると、1182年の4月に

是、高尾文學上人、武衛の御願を祈らん爲、
大辨才天於此の嶋に勸請し奉り、供養法を始め行う之間。
故に以て監臨令め給ふ。密議なり。
此の事、鎭守府將軍藤原秀衡を調伏を爲す也と云々。

これはつまり、頼朝さんが
「奥州の藤原秀衡調伏祈願のため、
文覚上人に命じて造らせ、二十一日間祈願させた」ものです。
それも「秘密」で。

高尾文學上とは、文覚上人。遠藤盛遠さんのことです。

 

遠藤盛遠さんは、元々は北面の武士で上西門院に仕えていましたが、従兄弟&同僚の渡辺渡(ギャグではない)の奥さんである袈裟御前に横恋慕して、渡さんの館に侵入して首を取った人。

が、討ち取ってみたらば、その首は渡辺渡さんのではなくて袈裟御前本人のもの。
愛する人の首を取ってしまった盛遠さんはショックで(そら、気も狂うわ)すぐに出家したとか。

一説によれば、盛遠さんと袈裟御前は幼なじみで、盛遠さんはずっと袈裟御前のお母さんに袈裟御前を妻に欲しいと言ってたけれど聞き入れられず……。
が、盛遠さんは諦めることなく、かなりしつこく脅すようになってきたので、袈裟御前は周囲の人の身の安全の為に、自らを盛遠さん自身に殺させるという苦渋の選択をしたとか。

最初にこの盛遠さんと私が出会ったのは(フィクション世界で)河村恵利さんの漫画。時代ロマンシリーズ2『清水鏡』でした。

袈裟御前は強くて弱くて、自分に自信のない人で……そして盛遠さんは普通に河村恵利さんらしい美青年(白髪)の好青年でした。


(クリックするとAmazonに飛びます)
*ちなみに、この清水鏡には大姫と義高さんのお話も入ってます。

少女漫画らしく、まっとうで切ない悲恋のお話だった記憶があるのですが、実際の盛遠さんはもっと激しいご気性の方だったようです。

 

 

 

出家して修行した結果、嵐を鎮めるほどの修験者になったのはいいんだけど、その後、神護寺の再興を後白河院に強訴して頼政さんに伊豆に流されたり、

遠流先の伊豆では、頼朝さんに「これがあなたの父(義朝さん)のドクロですぞ」と骸骨突きつけて挙兵を促したり、

平家追討の院宣を無理矢理出させたり、

木曽義仲の素行の悪さを糾弾したり、

結構……どころか、かなりダークで、喰えない御方。

でも、そんな盛遠さん(以後は文覚さんで)を
体よく使いこなしちゃってる頼朝さんが一番スゴイと思ったけどね。

実際の黒幕が文覚さんか頼朝さんかはわからないけどさ。

とにかく頼朝さん存命中は、二人仲良く共謀して
あちこちに強手で攻め入ってたようなんだけど、
頼朝さんが亡くなった後は、文覚さんは島流しになったとか。
波乱万丈な人生ですな。

 

さて、文覚さんは、頼朝さんより8つ上。
同じ上西門院に仕える身ではあったんだけど、

文覚さんが19歳で出家した(1157年?)時は、
頼朝さんはまだ元服したかしないか不明な11歳。

頼朝さんが上西門院さんの皇后宮権少進となるのは1158年。
1159年に頼朝さんは上西門院の蔵人になったけど
1160年の1月に平治の乱で頼朝さんは伊豆に流されちゃうし
平治の乱前の京においては、二人の接点はなかったのではないかと。

そしてしばらく経った1173年、文覚さんは「神護寺の再興」を後白河院に強訴して、自身の出自である遠藤(渡辺党)の棟梁の源頼政さんによって伊豆に流されます。

1173年がどんな年だったかというと、実はあんまり目立ったことはなく、ただただ平家全盛の頃。
前年に、後白河院と平滋子さん(時子さんの妹)との間に生まれた高倉天皇に平徳子さんが入内していて、「子はまだか〜」と清盛さんがヤキモキ、周りの摂関家たちもヤキモキしていた辺りでしょうか。

後白河院と清盛さんの間には結構ヤバイ空気は流れていたはずですが、1176年に後白河院さんが一番大事にしていたと思われる滋子さんが亡くなるまでは、まぁ、表面上は何とか仲良くやっていたはず。

でも後白河院としては、当然、清盛さん筆頭の平家に全部持っていかれたら面白くない。
だから、もっと前からちゃんと布石を打っておいたという噂も。
はい、頼朝さんの助命&伊豆への遠流です。

 

頼朝さんの助命は、清盛さんの義母(忠盛さんの後妻)である池禅尼さんが「この子は死んだ息子(清盛の腹違いの弟)にそっくりだから、どうか命を助けてあげて」と懇願したからということになってますが、

実は頼朝さんの実家である熱田宮司とか、頼朝さんの実母が仕えていた上西門院さんとかの口添えがあったという話。池禅尼さん自身が上西門院に仕えていたしね。池禅尼さんは清盛さんの夫を内助の功で支えた女丈夫と言われてる御方。(大河ドラマ「平清盛」では、和久井映見さんがやっててカッコ良かった!)

さて、その上西門院さんは後白河院の同母姉(それも一歳違い)で、後に准母になるくらいの仲良しさん。つまり、頼朝さんの助命にだって後白河院の影がチラチラと。流された先も、同じ源氏の頼政さんが知行する伊豆。

流人といえ、働かなくても乳母が食べ物やら何やらを送って支援してくれる悠々自適生活。
さすがに武芸の稽古は出来ないけど、持て余した暇で勉強しまくり、そして女の人に声をかけまくる頼朝さん。
そこへ、流罪で流されてくる文覚さん。

文覚さんは「神護寺の再興」を強訴して流された、となっていますが、この神護寺は頼朝さんの肖像画や、頼朝さんの文、政子さんの文が寺宝となっている有名なお寺。

神護寺は、なんでも平安の終わり、鳥羽院(後白河のお父さん)の時代に火事を二回も起こしたそうで、そのせいで鳥羽院の怒りをかって捨て置かれて、かなり廃れてしまってました。でも元々は道鏡事件に関わった和気清麻呂さんが創建したもので、空海さん縁の結構立派なお寺。

そんな寂れた神護寺へ文覚さんがやってきて「俺に任せておけ」と寺の再興に乗り出したのはいいんですが、資金が足りない。で、後白河院に荘園を寄進しろと迫って怒られて伊豆に流された。

しかしその後白河院、平家滅亡後の1190年、頼朝さんが出した資金によって神護寺が再興されると神護寺の文覚さんの元に行幸してあげてます。

神護寺のサイトによると、

「文覚は箒を持って御堂の前庭を掃き清め、それをご覧になった法皇が微笑まれたという。」

「高雄山神護寺沿革」
http://www.jingoji.or.jp/enkaku8.html

おいおいおい。
後白河院のニマニマした顔が目に浮かぶようだし、文覚さんがせっせとお掃除してるのが可愛らしいったらない。
後白河院ってば、ご褒美のつもりもあって行幸したのかなぁなんてね。

ものすごーく勘ぐってみると、わざと怒って伊豆に流して頼朝の様子を窺わせて、いざって時は蜂起するように焚きつけさせたとか?
ま、平家打倒と鎌倉幕府設立は幸運が重なったことと、用意周到だったのが功を奏したって方が多かったでしょうけど。だっていくらなんでも頼朝さんがそこまで後白河院に期待されてたとも考えにくい。

ま、それはともかく文覚さんとしては、頼朝さんに力を付けてもらって、神護寺を再興するっていう目標の為に頑張ったんですね。頼朝さんは幕府設立後に全国各地の寺社を再興していきましたが、神護寺もその一つだったってことです。
yoritomosan

話が逸れまくってますが、神護寺に頼朝さんの肖像画があるのは偶然ではないのです。
「伝・源頼朝肖像画」(教科書に昔から載ってる頼朝さんのお顔)が、足利直義さんの肖像画だという説については、神護寺さんは断固否定してました。
うん、私もそう思うよ!

リビドーロゼ

随分遠回りしましたが、そういうわけで、偶然にしろ必然にしろ画策にしろ、文覚さんは伊豆で頼朝さんと会って結託して平家打倒を目指し、その後は奥州藤原氏の滅亡を目指したってことですね。その証拠がこの「八臂弁財天」さまってわけです。

頼朝さん自身は最初(文覚さんの罪が赦免された1178年辺り?)は「えー、平家打倒なんて無理無理〜」って思ってたでしょうけど、1182年くらいには「何とかなるかも」って思い始めて、「それには奥州を何とか抑えなきゃ」って考えるようになって、とにかく神頼み的に呪詛したってことなんでしょうかね。

1180年の夏に「窮鼠猫を噛む」的に慌てて挙兵して、
1181年はちょっと息抜きして(御家人衆をまとめてたんでしょう)

で、この「八臂弁財天」を奉納したのが1182年。
この年は政子さんが頼家さんを産んだりとか、浮気の報復による打ち壊し事件とかがあった年。

『吾妻鏡』読んでると、あちこちの人が「頼朝さん、これ何とかして」って訴訟を持ち込んだりと忙しそうです。
信濃では義仲さんが台頭してきて、そっちにも睨み効かせにゃならず。
あっちにもこっちにも目を配らなきゃいけない頼朝さん。

そんな中、よっぽど奥州が脅威だったんでしょうね。
直接攻めるのはとても無理だから、こっそり内緒で呪詛したっていうことですものね。

実際に奥州藤原氏が滅亡するのは、1189年のこと。
文覚さんの呪詛は効き目があんまりなかってことかしら?
いや、時間はかかったけど呪詛のおかげってこと?

とにかく、そんなバックボーンを持った「八臂弁財天」さま。

頼朝さん、この弁財天様に触ったかしら?
触ったよね?

・・・

・・・

・・・

そーんな、頼朝さん由来の大切な弁財天様なのですが、実はお馬鹿なことに私、こちらのご尊顔を拝せずに江島を離れました。
「裸弁財天」さまと「八臂弁財天」さまの二体が安置されていた奉安殿を通りがかった時間が朝の8時10分。お二方の公開時間は8時半から。「帰りに戻ってきて拝めばいいや」と思ったのが間違いでした。岩屋から、つい船で腰越に戻ってしまった私。

返す返すも口惜しい。
今回、この記事を書くにあたって更に詳細を調べるにつれ、無念倍増ですが仕方ない。また行きます。

そう言えば、前回、「頼朝&北条氏に想いを馳せて江ノ島♪2」で、「裸弁財天さまは奥津宮にいらしたんじゃないか?」と妄想したのですが、実は奥津宮ではなく中津宮の「不老門」にいらしたそうです。

奉安殿の2つの弁財天は、かつては中津宮に安置されていた。
かつての中津宮には竜宮の楼閣「不老門」があって妙音弁財天はそこに置かれていたのだという。
明治の廃仏毀釈の運動の中で破壊されそうになったが、その難を免れている。

http://www8.plala.or.jp/bosatsu/enosima-benzaiten.htm

とのことでした。アブナイ、アブナイ。
明治の廃仏毀釈ってば、本当迷惑だわねー。(よく知らないけど)

というわけで、やっと辺津宮を離れ、中津宮へと向かいます。

えー。江ノ島の地図だと、今はまだこの辺(青矢印・クリックすると大きくなります)

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頼朝&北条氏に想いを馳せて江ノ島♪4に続く。

リビドーロゼ

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