日本史資料研究会監修 細川重男編
「鎌倉将軍 執権 連署列伝」
「列伝」ですよ、「列伝」!!
なんかすごそうな雰囲気が漂ってます。
表紙の色も地味〜で重そうだし。
内容紹介を読みますと…
鎌倉幕府政治の中心にあった将軍、そしてその補佐・後見役であった執権・連署、三十五人の人物そのものに焦点を絞り、それぞれの立場での行動や事績を解説する。巻末には詳細な経歴表を付し、履歴を具体的に示す。
ですが、ハードカバーの辞書のような本ではなく
もっとお手頃な雰囲気の簡易辞書でした。
(あ、悪い意味ではないのです。あしからず)
鎌倉将軍は何人いるか?
鎌倉将軍って何人いるかご存知ですか?
- 初代:頼朝さん
- 二代:頼家さん
- 三代:実朝さん
- 尼将軍:政子さん
- 九条頼経さん(三寅ちゃん)
- 九条頼嗣さん
- 宗尊親王
- 惟康親王
- 久明親王
- 守邦親王
そして、
が入り、
その後に京からの将軍が続きます。
つまり、十人!
え、政子さんは将軍じゃないでしょ、って?
いえいえ、政子さんはしっかり将軍ですよ!!
当然でしょ!
執権と連署って何?
えー、執権と連署については、兼任されてる方も多くおられまして。
特に「三代連署&五代連署&七代執権」の北条政村さんなんかは
義時さんの後妻の長男(泰時さんや重時さんとは母が違う)でしたが
その母が、夫(政村さんの父)の義時さんを毒殺しちゃうわ、謀反画策するわ
まー、立場的に色々と微妙な御方でございまして
「よくもまー、生き残ったよね」と褒めたくなるくらいの方。
私が勝手に妄想するに、本来は母の(伯父の?)謀反に関与した時点で処分されて然るべきだった所を、泰時兄ちゃんに救われたので、
「僕は泰時兄ちゃん(得宗家)の為に生きるよ! 何でもいいように使って!」
と身を投げ出したんではないかと。
だから、本来はなるはずのない執権に一時的に収まって中継ぎを頑張ったんじゃないかと思いますね。
ちなみに初代連署は、北条五郎時房さま!(義時さん、政子さんの弟)
そして二代連署は、北条三郎重時くん!(何? この扱いの差)
四代連署(&八代執権)は、北条時宗さん。(重時くんの娘婿)
その後は、重時くんの子孫が代々の連署を務めていきます。
……というように
この書籍の目次には、代々の執権・連署が名を連ねてあり、有名な事件などもメモってあるので、鎌倉時代の北条政権の全体的な流れがわかりやすくなってます。
で、それによってよーく再確認したのが、
「重時くんてば、まさに裏番長!」
ってこと。
赤橋流、塩田流、普恩寺流……
かなり食い込んでますよ。
足利尊氏さんは玄孫だしね・・・。
でも、不満はある!
はい。不満はあります。
だって、私の興味は鎌倉時代前半のみ。
頼朝さんに政子さん。頼家くんに実朝くん。
時房さまに義時くん、重時くん。そのくらいまで。
でもこの本では、その辺に関しては通り一遍さらーっと書いてあるだけ。
ええ、どうせ他の資料も探せば、このあたりの方々についてはたくさん出てきますよ。だからその辺は省略しつつ、鎌倉時代中盤から後半にかけての人々を書いたってことなんでしょうね。
でも、わかっていてもなんか納得出来ないのよー!
そして何よりショックだったのが、重時くんの資料が少なすぎること。
正直、本当に私も知ってるようなことだけでした。書かれてる文章自体に見覚えがある。
・・・と思ったら、私も参考にした森幸夫さんの「北条重時」が参考文献。
そうなんだよねー。かなりの実力者なのに文献があまりに少ない。
それは、彼があまりに上手に立ちまわったせいで目立たないからだ!
さすがだわ。裏番長は、目立たないから裏番なのよね。
目立っちゃったら表番長になっちゃうものね。
でも、何かしら新しい発見が欲しかったよ〜〜〜。
最後にまとめ
Amazonの書評だと星4.5くらい付いてます。
トップカスタマレビューの方のレビューを拝見すると
得宗政治中心にまとめられがちな後期鎌倉時代史で何かと無視されがちな非得宗家出身の執権や、多くが赤橋、大仏、金沢といった有力庶家から輩出される連署についても触れられているので、鎌倉幕府上層部がどのようにバランスをとりながら運営されていたかというのがよく理解できると思います。
そうそう!
本当にそうだと思います。
私のようなハンパでテキトーな人間にも、北条家が得宗ばかりでなく一族が足を揃えて苦心して幕府を運営していたことが伝わってくるんですね。皆で懸命に支えあってるんですよ(イメージです)。
五代以降の将軍は、はっきり言ってお飾りです。
でもお飾りでないといけないんです。だから成人したらポイです。
それは気の毒ではありますが、東国にて幕府を運営するには必要だったんでしょうね。
・・・なーんてね。
歴史研究家の専門家ではないので、あんまり適当なこと言ってるとお叱り受けそうです。はい、この辺で。
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