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とかじり小四郎 ―北条義時―7

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『 とかじり小四郎 ―北条義時― 』

 

「小四郎、八重姉様から預かったわよ」

 声をかけられて振り向けば、政子が直垂を手にしていた。でも見覚えのない直垂に小四郎は出しかけた手を下ろす。

「新しく縫って下さったのよ。あんた、ちゃんと江間に顔を出してるの? 会話してる?」

 黙って直垂を受け取ると、姉の足が小四郎の足を蹴り飛ばした。

「ちゃんと返事なさい! 本当にしんねりむっつりなんだから! 言わなきゃわからないでしょ!」

 痛い。見事に脚の筋をやられた小四郎は廊下に転がる。

 

「こら、政子。お前は口より前に手が出るんだからな」

 長兄・宗時が呆れた顔で廊下に姿を現した。その横に頼朝も笑って立っている。政子は腰に手をあてるとフンとそっぽを向いた。

「だって小四郎ったらだんまりなんですもの! 苛々するったら」
「小四郎は反応が鈍いけれど、ちゃんと聞いているよ。蹴る前に少し待ってやらないと」
「だって、気付いたらもう蹴ってしまってたんだもの」
「うんうん、誠、誠。政子は頭の回転が早くて行動も早いんだよな。悪気はないのさ」
「あら、佐殿ったら。ええ、その通りよ」
「まったく。佐殿がそうやって政子を甘やかすからいけないんですよ。政子、お前まさか佐殿にも手を出したりはしてないだろうな?」
「やだ兄さんったら、そんなことしてないわよ。ね?」
「うんうん、誠、誠。政子の愛の一発や二発、今じゃあ上手に受け身を取れるようになったし問題ないよ」
「佐殿ったら、人聞きの悪いこと言わないでよ」

 談笑しながらの、一見は普通に仲の良い兄妹と夫婦の会話。小四郎を貶めてはいるが、このくらいならまだまだ。

 

「おい、お前達、廊下で何を騒いでいるんだ?」

 時政が部屋から顔を出し、その向こうから牧の方が笑顔を見せる。

「皆さん、そろそろ夕餉ですよ。政子さん、手伝ってくださらない?」
「はい、義母上。ごめんなさい、気付かなくて」
「今日の夕餉は何かな?」
「蕪のあつものですよ」
「それから比企の尼様から差し入れをいただいたの。とても美味しそうな吊るし柿」
「おお、それは楽しみだな」
「うんうん、誠、誠。尼の送ってくれる干し柿は美味なのだ」

 和やかな会話の流れ。でもどこか尖って冷たい空気を感じるのは考え過ぎだろうか。皆が皆、一様に揃って穏やかな笑顔を見せているのが何よりも小四郎には怖かった。昔はこんなじゃなかったのに。

 

 一通りの談笑を終えた面々は、今度はだんまりと押し黙ってわらわらと所定の場に戻っていく。小四郎の横を通りがかった頼朝が手を差し出した。

「大丈夫か?」

 にこにこと穏やかな笑み。小四郎が頷くと頼朝は子供のような笑顔で続けた。

「比企の尼から新しい書も届いたんだ。夕餉の後、一緒に読まないか?」

 この北条の館において微妙な立場であることは頼朝も小四郎も同じだった。小四郎は少しホッとして頷く。頼朝も笑って頷くと政子とまだ幼い姫と暮らす離れに向かって静かに歩いて行った。

 

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