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北条政子の夢買物語 13

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アワの夢「北条政子夢買物語」

 

まだ、笑ってる。
「おい、次郎いい加減にしろし」
石和五郎が肘で突つき、小笠原次郎は一旦は笑いを収めた。でも、政子の顔を見るとまた笑い出す。
「どうぞ、好きなだけ笑って」
政子は口を尖らせながら嫌味を言う。
「うん、さすがは北条の一の姫だな。でも帚一本じゃあ無理だと思うぞ? 状況確認というものをもっとせねば」
のほほんと、そんなことを言い出す頼朝に、政子はぶち切れる。
「状況確認って言うなら、その言葉そっくりあなたにお返しするわよ! べらべらと能天気に自分の名前名乗っちゃって! どういうつもりよ。こっちは一応身柄を預かってる責任上、ああしなきゃいけないんだから仕方ないでしょ」
「いやいや、普通の姫ならとっくに逃げております。さすがは北条の一の姫」
心から感服したような顔をして見せる大人な態度の石和五郎と
「本当、すごい殺気だったよね」
喋りながらも、また声を押し殺して笑う、子供らしい無邪気な小笠原次郎。

結局、少年二人は何もしないという約束をし、武器を全て預け、政子の監視のもと北条館に通されて、今ここで会談していた。
二人は今日、宗時に会って頼朝への面会の仲立ちを頼む予定だったのだが、まさか本人がふらふらうろついているとは思わなかったらしい。
「ふらふら?」
政子は、はたと思い当たった。ばたばたと自分の部屋に戻ると、それを掴んで持ち帰る。
「これ、お返ししなきゃと思っていたの。宛先を間違えてらしたようだから」
「おや? それは私が書いた文ではないか」
「宛先間違いで私の所に届いたのよ」
怒りで声が震える。
「あなた、この辺りをふらふらしてたと聞いたけど、まさか時子を覗きに来たんじゃないでしょうね?」
そう問い質したら、頼朝は笑った。
「そうそう、三の姫がとても美しいと聞いたのでな、一度ご尊顔を拝したいと思って」
やっぱり。
「誰が、可愛い妹をあなたみたいな好色家の餌食にしますか!」
「ひどい言われようだな。これでも私は誠意ある方なんだぞ? 都では五人、六人の姫に一度に文を送る輩も多い中、私は三人までにしていたのだから」
「帰れ」
真っすぐ出口を指差したら、頼朝は慌てて手を振った。
「嘘だよ、嘘。一の姫の顔を見に来たのだ」
どこまで軽い口を叩くつもりなのか。政子が黙って睨みつけたら、頼朝はしゅんと肩を落とした。
「本当に散歩をしていただけなのだ。八幡宮から帰る途中だった」
後ろから、ひーひーという変な声。見れば、小笠原次郎が腹を抱えて笑っている。
「あなた、本当によく笑うわね」
政子が呆れてそう言ったら、石和五郎が代わりに申し訳なさそうに頭を下げた。

「ところで、あの方は?」
石和五郎の言葉に振り返ってみたら、そこには義時が座って書を読んでいた。
「ちょっと小四郎? あなた、いるなら挨拶くらいしなさいよ!」
政子に叱られて、小四郎は立ち上がる。四人の前に座ると小さな声で挨拶をした。
「江間小四郎義時です」
「あんたがこういう場に出るなんて珍しいわね。どういう風の吹き回し?」
そう言ったら、義時はちらと姉を見て口を開いた。
「いた方がいいと思ったから」
へえ、と政子は思う。弟として兄の留守を守るつもりのようだ。政子は少し義時を見直した。
「小四郎殿か、よろしく。石和五郎と申す」
「小笠原次郎です」
「同じ歳か? 私と次郎は十六だ」
「十五です」
同じ年代の少年三人は自己紹介を済ませると、すぐに親しげな雰囲気になった。石和五郎が小笠原次郎の肩を叩いて笑う。
「この次郎は本当は平知盛殿の家人でな、つい先日まで京にいたんだけど逃げ出して来たんだと」
義時は目を上げて小笠原次郎を見る。すると次郎は素直にこくりと頷いた。
「うん、知盛殿は武勇の誉れ高い立派な方だよ」
「何故、逃げ出したのですか?」
政子は小四郎が自分から声をあげて会話に参加していることに驚く。
「うーん、一緒に行ってた兄上が、逃げるぞって言ったからかな」
子供らしい発言に、石和五郎が頭を抱える。
「おまんはもっとこぴっと説明しろし」
そして、小笠原次郎の代わりに説明をしてくれた。都では平家の関係者ばかりが力を強めていること。甲斐の源氏の血筋である小笠原はあまりよく思われていなかった。
「でもね」
そこで小笠原次郎が口を挟んだ。
「今の相国殿の時代はいいけれど次はどうかなぁ。だから兄上は関東に戻るって言って逃げてきたんだ」

そんな三人を静かに眺めていた頼朝が口を開いた。
「若いなぁ」
その呟き声には真実味があった。頼朝の若い頃と言えば、既に伊豆に流されての流人時代である。未来を嘱望された青年が捕らわれ、命の危機を乗り越え、都から遠い伊豆に打ち捨てられたのだ。その無念を思うと、さすがの政子も頼朝を気の毒に思わなくはない。でも、優しい言葉をかける政子ではなかった。
「あらあら、羨ましそうですこと」
少し茶化して言ってやる。すると頼朝は、にっと笑った。
「ああ。私はあの歳の頃はそれはそれは美男子でね。女にも男にも、もてて大変だったんだ」
「へえ、あなたがねぇ」
男にもとは、一体どういうことだろうと思いつつも、あまり突っ込まずにおく。
「それより、三の姫はいつになったらお出になるのだろうか?」
きょろきょろと入り口の方を見る頼朝を政子は一喝した。
「あなたに会わせるわけないでしょ。絶対、妹には近づかせないからね!」
政子の剣幕に頼朝は笑い、そして手にしていた風呂敷を差し出した。
「それでは、これは一の姫に」
中身を見たら瓶に入った酒だった。
「藤九郎と二人で飲むのもつまらないし三郎とと思ったのだが、今日は一の姫に差し上げよう。『将を射んと欲すればまず馬から射よ』と言うからな」
「誰が馬よ。大体、お酒をもらって喜ぶ姫が一体どこにいますか!」
文句を言ってやったら、頼朝は少し意地悪な顔をして笑った。
「おや、一の姫は酒をたしなまれないのか?」
喧嘩を売るつもりらしい。政子は盃を取るとその喧嘩を買い上げた。

 

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