menu
閉じる
  1. 流鏑馬神事(海野幸氏と大姫・後編)
  2. いもうと(頼朝と政子)
  3. アワの夢『 北条政子の夢買物語 』
  4. 『 腑抜けの三郎 』 ―北条重時―
  5. イザヤ!鎌倉「江間家の段」3(My wife’s mirror:吾妻鏡…
  6. 「アマカケル―北条の姫―」AmazonKindleで販売開始します
  7. 20万字もの長すぎる文章をKindle用にe-pub化する方法(Mac…
  8. 連載は3月で完結。4月いっぱいで下げます。<アマカケル>
  9. あづまがたり(頼朝と政子の出逢い)
  10. 竹御所、若紫源氏を拾う(鞠子と三寅)
閉じる
閉じる
  1. 腑抜けの三郎―北条重時―59
  2. 腑抜けの三郎―北条重時―58
  3. 腑抜けの三郎―北条重時―57
  4. 『 腑抜けの三郎 』 ―北条重時―
  5. 腑抜けの三郎―北条重時―56
  6. 更新が滞るかもしれません
  7. 腑抜けの三郎―北条重時―55
  8. 腑抜けの三郎―北条重時―54
  9. 腑抜けの三郎―北条重時―53
  10. 腑抜けの三郎―北条重時―52
閉じる

頼朝・北条好きFanSite「あづまがたり」

腑抜けの三郎―北条重時―18

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 
 

 
 
 祇園社から法然上人の庵はすぐの所にあった。都の中心からは少し離れているが、大層賑わって人がたくさん集まっていた。

「おや、あなたもおいででしたか」

 聞き覚えのある涼やかな声に振り返れば、そこには藤原定家が立っていた。

「これは京極殿。やっぱりあなたも」

 具親がにこにこと会釈をする。

「少将殿はいつも変わらず楽しそうですな。おお、三郎殿もご一緒か」

 具親の横に立っていた三郎に定家はにこりと笑みをくれる。三郎は頭を下げた。

「はい、ご師匠様」

 定家は満足げに頷くと、後ろに立っていた男に向かって紹介をした。

「基親殿、こちらは小野宮少将、源具親殿です。少将殿、こちらは平基親殿、元兵部卿であられます」

 具親はにこやかなまま軽く頭を下げる。

「お初にお目にかかります」

「おお、小野宮少将殿といえば、最勝四天王院障子和歌の?」

 さて、とでもいうように首を竦めた具親のかわりに定家が頷いて答える。

「ええ。和歌に堪能なのにご本人はこの通り飄々として、和歌よりも武芸と申す好き者でございますよ」

 からかうような口調。定家ははっきりと物を言う性質で具親とは気が合った。

「そしてこちらの三郎殿は少将殿の養い子で私の弟子なのですよ。なかなか筋が良くてね。まことの父君は鎌倉の武士だそうですが」

「ほぉ、鎌倉の。そう言えば鎌倉の将軍殿は随分和歌に秀でてらっしゃるとか」

 三郎はちらと顔を上げる。三代将軍実朝は、定家と文で和歌のやり取りがある。

「ええ、とても勉強家でいらっしゃる」

 来年元服して鎌倉に帰ったら、自分は実朝の側に仕えることになるのだろうか。実朝は次郎兄・朝時の烏帽子親でもあった。

「それにしても随分な人出ですなぁ。華やかなこと」

 鎌倉を思い出してまた気が滅入った三郎に気づいたか、具親が軽やかな声で空気をかえてくれた。

「やっと院のお赦しが出て京にお戻りになったのです。人が集わないはずがありませんよ」

 

 男達が談笑する中を少女は猫を胸に抱えて所在なげに立っていた。三郎はその横に立つと黒猫の頭を撫でる。黒猫はすっかり眠りこけていた。

「その猫、僕が飼おうか?」

 弁天様と龍神様に誓いを立てたのだ。責任を果たせねばと思っていた。

 でも少女は微笑むと首を横に振る。

「ううん、私が飼うわ」

「でも、大変じゃない?」

 彼女はそれ程良い身なりをしているわけではない。先ほどの会話から捨て子の可能性もあった。それなりの余裕がなければ猫など飼えない。でも少女は頷いた。

「大丈夫。私、海賊の船にお世話になってるから。船では猫をすごく大切にするのよ。荷に鼠が紛れたら大変だし、猫が乗ってる船は沈まないって言われてるから」

「え、海賊?」

 驚く三郎に少女は笑顔で頷いた。得意げに光るその顔を見て三郎は僅か安心して頷く。

「わかった。君に任せるよ」

 それから少女の手を引き、庵へと誘う。

「法然様のお話を聞きに行こうよ」

 

次ページ

目次へ戻る

関連記事

  1. 北条政子の夢買物語 15

  2. 北条政子の夢買物語 37

  3. 『 とかじり小四郎 』北条義時物語

  4. とかじり小四郎 ―北条義時―11

  5. 『アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 』北条家血 お知らせ

  6. 腑抜けの三郎―北条重時―42

おすすめ記事

  1. 『 腑抜けの三郎 』 ―北条重時―
  2. 「アマカケル―北条の姫―」AmazonKindleで販売開始します
  3. 20万字もの長すぎる文章をKindle用にe-pub化する方法(Macで縦書き・無謀勝負)その1
  4. イザヤ!鎌倉「江間家の段」3(My wife’s mirror:吾妻鏡・妄想誤訳)
  5. イザヤ!鎌倉「江間家の段」1(My wife’s mirror:吾妻鏡・妄想誤訳)

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

Amazon 出版物(電子書籍)


「殺さなきゃ……父が来る前に」後に北条政子と呼ばれる女は、水を滴らせた白い布で夫の口を塞いだ。「私を妻にしてください」そう願ったのは幼い頃。歳が十離れたその人、佐殿は「源氏物語」の「光の君」そのもの。いつか若紫のように望まれて、共に生きると信じてた。(長編)



捕えられ鎌倉へと送られた白拍子は、八幡宮での舞に呪をこめる。男児を殺され奥州を目指すも辿り着いたのは蝦夷だった。静御前の話。(中編)


木曾義仲の息子・義高が逃亡した。その身代わりとなって牢に繋がれた海野幸氏と、彼を助けようとする大姫の話。(短編)

ポチで応援おねがいします

にほんブログ村 歴史ブログへ にほんブログ村 小説ブログ 歴史・時代小説へ
ブログランキング・にほんブログ村へ

おすすめ記事

  1. 腑抜けの三郎―北条重時―59
  2. 腑抜けの三郎―北条重時―58
  3. 腑抜けの三郎―北条重時―57
  4. 『 腑抜けの三郎 』 ―北条重時―
  5. 腑抜けの三郎―北条重時―56
ページ上部へ戻る