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腑抜けの三郎―北条重時―20

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「はぁぁぁ……。気持ちよかった!」

 庵を出た少女は深いため息をつき、それから「うーん」と大きく伸びをした。明るい声だ。先ほどの涙の影は微塵も無い屈託のない顔。

 三郎は思い切って声をかけた。

「何か、僕に出来ることがあったら言って」

 少女がきょとんとした顔で振り返る。

「え? 何か? 出来ること? 何で急に?」

「いや……何か辛いことがあるのかなって」

 先程の男達との間で嫌なことがあったんじゃないだろうか。家に帰りたくないんじゃないだろうか。口ごもる三郎を見て少女は「ああ」と頷いた。

「私が泣いたから気にしちゃった? 何か辛いことがあったんじゃないかって」

 頷いた途端、少女が弾かれたように笑い出して三郎は面食らう。少女はしばし腹を押さえて苦しそうに笑っていたが、目に溜まった涙を拭うと三郎の顔を見上げた。

「女の涙は男の汗とおんなじよ。男は汗をかくと気持ちいいんでしょ? 女は涙を流すと気持ちがいいの。ただそれだけよ」

「え? 汗? それだけ?」

 「そうよ」と答えて、またけたけたと笑い出す少女。こんな少女に母の面影を見た自分が哀れに思えて、三郎はがっくりと肩を落とした。

 その時、ふと少女が何かを思い出したように手を打った。袂から何かを取り出す。

「じゃあこれ、玉の代わりに持っててね」

 少女の差し出した物を見て三郎は驚く。黒塗りの見事なしつらえの漆の小箱。その辺りに転がっているような代物ではない。

「こんなに見事な箱……いいの?」

「あげるんじゃないわよ。玉の代わりに預かっててって言ってるの!」

 少女は頬を赤く染め、怒ったようにそっぽを向いた。

「おやおや、玉を売り捌くつもりかと思うたが、意外に義理堅いではないか」

 具親が笑い含めるのを、少女はつんと顎を上向けて口を尖らせた。

「そんな盗賊まがい、するわけないでしょ」

 それから真っすぐ三郎を見つめる。

「私、ことだよ」

「こと?」

「うん。言の葉の『こと』」

 

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