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腑抜けの三郎―北条重時―21

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「言の葉……」と繰り返し、ふと風が揺れたような気がした。突然気付く。

「ねぇ! 僕、君の言葉に覚えがあるよ。君は東国の、鎌倉か三浦の人なんじゃない?」

 少女、ことは驚いた顔で頷いた。

「ええ、そう。三浦の対岸の安房の出よ」

「僕は以前、鎌倉に住んでたんだ。だから言葉の訛りが近くて懐かしいんだ」

 ことはじっと三郎を見つめた。綺麗な瞳が三郎を射る。胸がどきりと鼓動する。

「三郎は鎌倉にはもう帰って来ないの?」

「いや、来年元服するから戻ると思う」

「じゃあ、また会えるね」

「あ、うん。……そうだね」

「何よ、そのやる気のない返事」

 膨れ面のことに、慌てて手を横に振る。

「違うんだ。鎌倉に戻りたくなくて」

 不思議そうに首を傾げること。

「武士になりたくないんだ。僧侶になりたいって言ってるんだけど駄目だって……」

「どうして武士になりたくないの?」

 首を傾げることに、三郎は曖昧に笑って見せた。

「きっとそれは、君が言う通りに僕が腑抜けだからだと思うよ」

 手を差し出す。

「鎌倉で会おう」

 ことは頷き、三郎の手に自らの手を重ねて、ふわりと笑った。

 ことが微笑んだ瞬間、風が止まった。この世界に彼女と自分しかいないような感覚。その時、三郎は彼女に触れたいと思った。心の命じるままに指を伸ばす。彼女の頬に指が触れようとした瞬間、風が起きた。小さな小さなつむじ風。

 風は彼女を中心に吹いていた。三郎を包み、巻き込むように流れて行く。ピリピリと肌を粟立たせる静かなる気。海の波のようだ。寄せては戻り、強い力で引っ張る。海の底の竜宮まで引きずり込むような……

「こらぁ、乙姫! お前、どこほっつき歩いてやがった! 心配したじゃねぇか!」

 突然響いた大音声に、三郎の身体が大きく跳ねた。少女との間に繋がれていた見えない糸がぶつりと切られる。

 後ろを振り返れば、そこには先程牛と格闘した男達が立っていた。

「あれ? あれは、さっきの……」

「ああ、うん。彼らは海賊仲間なの」

 三郎は驚いて少女と男達を交互に見比べる。それから頭に手をやった。

「ごめん、勘違いしてたみたいだ」

「ううん。海の男だし柄が悪いものね。でも三郎は助けてくれようとしたんでしょ?」

 それから、くすりと可笑しそうに笑う。

「腑抜けの癖に」

「それ、腑抜けってやめてよ」

「自分だって言ってたじゃない。楽しかったよ。また鎌倉でね」

 ことは大きく手を振ると男達の元へと駆け出した。その背中を名残惜しげに見送る。

「乙姫かぁ。竜宮城の乙姫と同じだ」

 ……あれ? おと?

『こと』は名前のことじゃなかったのだろうか。

 ふと頬に手を当てた三郎は首を傾げた。傷口が消えていた。

 

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