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頼朝・北条好きFanSite「あづまがたり」

腑抜けの三郎―北条重時―32

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第四章 「星月夜に堕ちる」

 翌、一二一三年正月は地震で始まった。数日後、鶴岡八幡宮で流鏑馬があって音は出掛ける。祭りがあるとつい三郎を探してしまう。一度として会えたことはないけれど。

「言は、そんなに流鏑馬が好きなのか?」

 巴が不思議そうな顔をする。

「ううん、そういうわけじゃないけど……」

「俺は相撲の方が好きだな。今回は開催されないけどさ」と残念そうに肩を竦めた巴の後ろで義秀がぼやいた。

「ああ、本当に残念だ。相撲があれば褒美に預かることが出来るってのに」

「父さん、いい加減年なんだからやめとけよ。今出たって腰をやられるだけじゃんか」

「ハッ、誰に向かって口聞いてやがる」

「そろそろ秀太の方が強いんじゃないか? 寝首かかれないように気を付けろよ」

「まだ秀太ごときに負ける俺様じゃねえよ」

 父娘のいつもの掛け合いが始まる。場を離れようとした音の前に一人の武士が現れた。頭を下げて横に避けようとしたが、武士は同じ方向に避ける。別に向きを変えると行く手を阻むようについてくる。むっとして顔を上げたら一人の男が通せんぼしていた。武士は音と目が合うとにやりと口の端を上げる。

「やあ姫君、ご機嫌はいかがかな?」

 馴れ馴れしい口調。でも身なりは随分良い。一見してわかる上質な衣でしつらえた海松色の直垂。胸紐は一段浅い淡黄で腰に立派な太刀を佩いている。音のことを姫と呼ぶからには乙姫の存在を知る者だろう。でもこんな男は和田の館で見たことがない。どこかで見たことがあるような気はするけれど……。

「あなた、一体誰なの?」

 警戒の色を見せながら口を開く。すると男は意外だというような顔で首を竦めた。

「あれ、忘れちゃった? ひどいなぁ」

 あくまでも軽い調子。文句を言おうと口を開きかけたら後ろから野太い声がかかった。

「お、時房じゃねぇか。どうした?」

 義秀が大股でこちらに向かって来た。

「や、義秀。相変わらずでかいな」

 二人は親しげに拳を合わせる。そこでやっと気付く。北条時房。尼御台の弟で幕府の実力者だ。見たことがあるはずだった。昨年、船で三崎御所に向かう時にその場にいた。

「乙姫に声をかけるたぁ、いい度胸してやがると思ったら。やっぱり北条は油断ならん」

「義秀、この姫をちょっと貸してくれるか」

「悪いが遊び女じゃねえんだ、他を当たれ」

「人聞き悪いなぁ。そんな意味じゃないよ」

「じゃあ、どういう意味だってんだ」

「江島に行きたいんだ。お前達が姫を拾ったのは江島だろう? その話を聞きたくてね」

 義秀は眉をひそめた。

「どういうことだ?」

「気になるなら、お前も一緒に来ればいい」

 義秀は後ろを振り返ると巴に声をかけた。

「ちょっと出て来る。先に船で戻ってろ」

 

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