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腑抜けの三郎―北条重時―34

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「音は頼朝公の御落胤ってことかよ?」

「いいや。それは今は言えない」

 そして時房は音に手を差し出した。

「突然驚かせて済まない。先ずは尼御台の話を聞いて欲しい。一緒に来てくれないか」

 音は身を竦めて後じさる。

「嫌だ。私は海から離れたくない」

「弁才天は辯才天。道理を説く智慧の神だ。乙姫、君は真実を知りたくないのかい?」

 首を横に振る音の前に義秀が立ち塞がる。

「義秀、そこをどいてくれるかな」

「言が行きたくねえって言うんだ。俺はそれを支持する。言は我々三浦海賊の守り神だ」

 二人は静かに睨み合う。

「頼朝公の血だか何だか知らねえが、北条は一体どこまで将軍家に寄生するつもりだ」

「寄生とは随分な言い様だな」

「実際そうだろ。北条は頼朝公の正室の尼御台がいなけりゃ、ただの伊豆の小豪族。乙姫は俺ら三浦の海賊が拾った賜り物さ、北条に利用させやしないぞ。時房、お前だって分かってんだろ? お前達は権力を集め過ぎた。今の北条のあり様に異を唱えるものは多い」

 時房は薄い笑みを浮かべる。

「三代将軍が幼かったからなぁ」

「でも成人された。権限を返すべきだろう」

「返す? そりゃあ、無理だろ。あの将軍に頼朝公のような力があるか? 寝ても覚めても和歌のことばかり。和歌が上手なら恩赦を受け、要職に就く。お前はおかしいと思わないのか? ここは武士の都だ。京じゃない。将軍は帝と同じだ。そこにただ居てくれればいい。京でも帝は政治を行わないだろう? 行うのは院や近臣。それと同じで何が悪い」

「お前、それは危険な考えだぞ」

「では聞く。貴種であればどんな愚鈍な者でも、どんな無能でも政を行っていいのか?」

「時房! 将軍に無礼だぞ! 北条は将軍を利用して権力を持ちたいだけだろう?」

 時房は目を細めた。昏い光に音は震える。

「では和田はどうなんだ。義秀、お前は信濃の泉の辺りに行ったことはないのか?」

「泉? 何のことだ?」

「俺はお前を捕えたくはない」

「何のことかと聞いている! 脅しか?」

 凄む義秀に時房は首を振った。

「俺は和田一族が好きだよ。他のどの氏族より信頼してる。鎌倉随一の武士だ。その強さと正義感が悪用されるのを危惧してるんだ」

 義秀はため息をついた。音を振り返る。

「こいつの話は分からん。言、帰るぞ」

 音は義秀の側に擦り寄った。時房が音を見るが知らない顔をする。

 その帰り、音は思い切って義秀に聞いた。

「あの人と一緒に行った方が良かった?」

 自分がここにいることで迷惑になりはしないだろうか。耳の奥にこびりつく声が甦る。

 『龍女は周りの人間を取り殺す』

 だが、義秀は笑って首を横に振った。

「お前は三浦の乙姫さ。俺達が海から授かった賜り物だ。心配するこたねぇよ」

 音は黙って義秀を見上げる。

「それにお前がいなくなったら誰が巴を抑えられる? お前は俺達の大事な家族だぞ」

 

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