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頼朝・北条好きFanSite「あづまがたり」

腑抜けの三郎―北条重時―36

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 重時が彼女を見かけたのは義時の使いで出た時のこと。一人の大柄な男が鎌倉の町をゆっくりと歩いている。人々はその大男をちらちら見ながらすれ違った。重時も何気なくその男を眺め、その横の小柄な少女に目を留めて驚いた。京で会ったあの少女だったのだ。

 重時は少女に駆け寄ると袖を引っ張った。驚いた顔の少女が振り返る。

「久しぶり! 覚えてる? 京で会った……」

 意気込んで自分を指差し、はたと気付く。あれからもう一年以上経つ。忘れられていて不思議はない。気軽に話しかけたことを後悔しかけた時、少女はゆっくりと口を開いた。

「ああ、腑抜けの三郎?」

「腑抜けのって……ひどいなぁ、それ」

「ごめん。名前を聞いてなかったから」

 困ったように笑う少女。でも覚えていてくれたのだ。重時は嬉しくてはしゃいだ。

「重時だよ」

「重時? へぇ、いい名前じゃない」

 真っすぐ見つめられて胸が高鳴る。名前を褒められたのは初めてだ。ほんの少し誇らしい気持ちになる。でも彼女は続けた。

「名前負けしてるけどね」

「それ、褒めてないじゃないか」

 鈴を転がしたような高い笑い声。柔らかな羽で胸をくすぐられるようで、どんな顔をしていいのか戸惑う。その時、彼女の横に立っていた大男が口を開いた。

「乙姫、もう行くぞ」

 見上げれば、一瞬交わった男の目が鋭く重時を射た。蛇に睨まれた蛙の気分で唾を呑み込む。男は無言で踵を返すと歩き出した。

「あ、秀太、ちょっと待ってよ」

 男の後を追って少女が走り出すのを重時は息を詰めて見送った。でも少女は急いで駆け戻って来ると重時に走り寄り耳に口を寄せた。

「今晩、会える?」

 鼓膜を震わせる甘い声。重時は声を出せずに首を二度程大きく上下に振った。

「じゃあ、今晩、戌の刻に八幡様の鳥居で」

 走り去る足音。梅の花の香りが遠ざかるよう。ぼんやりそちらを見送っていた重時は、はっと顔を上げると慌てて走り出した。混み合う鎌倉の町。重時はいつになく慌てて、人を跳ね飛ばすくらいの勢いで走った。

 

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