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腑抜けの三郎―北条重時―38

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 少女は眉をひそめ、疑わしげな顔をする。

「強く願うとその通りのことが起きるんだ。もちろん全てではないけど。えーと、例えば、そうだな。前に猫を助けた時にさ……」

 言いかけて、重時は言を見た。

「あの時の猫、どうしてる? 元気?」

「ええ。すっかり太々しくなったわ。ほら、額に傷をつけられたでしょ? だから余計に迫力があってね。すっかり親分猫よ」

「へえ、そっか。良かった」

「でね、江島で思い出した。実は私も……」

 言いかけた言が、何故か急に黙る。

「私も何? 江島がどうしたの?」

 聞き返したけれど返事がない。少しして言は首を横に振ると話題を変えた。

「それより僧になるのは諦めたの? 元服したって僧にはなれるでしょ? 話したの?」

 重時は小さく首を横に振る。その途端、何故か急に言は怒ったような顔になった。

「どうしてちゃんと話さないのよ?」

「だって、父は僕の意見なんか聞かないし」

「重時は僧になって何をしたいの?」

「何を……って、別に特に何も」

「法然様みたいに皆に教えを説くとかは?」

「無理だよ。僕にはそんな器量ないし」

「じゃあ、和歌で宮廷一になって、歌合わせで皆を負かせるとかは?」

「いや、そんな才能ないし、それに勝負とかそういうのはあんまり好きじゃあ……」

 笑って言った途端、言の拳が重時を飛ばした。

「やる前から無理なんて言わないでよ!」

 重時は尻餅をついて目を瞬かせた。その前で言は腰に手を当てて仁王立ちする。

「男たるもの武士たるもの何かないの? この世に生まれた以上、為したい志とかは!」

「……え、えーと……為したい志?」

 重時は腰を落としたまま後ずさる。そんな大層な志など、どこを探っても出て来ない。

「僧になりたいのは戦に出たくないだけだし、和歌が詠めればいいかなって程度で」

「あんた、どこまで腑抜けなのよ!」

 目の前に指を突きつけられる。

「最初から諦めて何も行動しないなんて! 腑抜けでもいいなんて最低よ! さっき玉には不思議な力があるって、願えばそれを叶えてくれるって言ってたけど、あんたみたいな腑抜けの願い方じゃ何も叶いっこないわ!」

「腑抜け腑抜けって、押し付けるなよ」

「どうしてそんなに弱気なのよ。願いは口にしなさいよ。反対されたっていいじゃない」

 言は納得がいかないといった顔で重時を見下ろす。重時は目を逸らした。

「僕は人と争うのが嫌いなんだ」

「だから父上とも争いたくないってわけ? だから武器を持って戦場で殺し合うなんて、とんでもないって言いたいの?」

 重時は目を逸らしたまま小さく頷く。

「あんたみたいな腑抜け、大嫌いよ!」

 言うなり、言は走り去った。あ、と声を上げかけて、でも重時はその手を下ろした。手の中に残るのは、あの日預かった小箱。

「返し損ねちゃった……」

 

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