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頼朝・北条好きFanSite「あづまがたり」

腑抜けの三郎―北条重時―44

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 源頼朝の長女、大姫で知られる一の姫は、幼い頃に清水冠者義高と許嫁の関係にあった。義高は頼朝の従兄弟・木曾義仲の嫡男。鎌倉の人質だった。義仲敗死の三月後に義高は鎌倉を逃げ出し、捕らえられて首を刎ねられる。それから十年余り、大姫は病がちで過ごす。

 年頃になった頃、従兄弟との縁談が持ち上がるが大姫はそれを強く拒否し破談となった。だがその後、頼朝がすすめた入内については大姫は明確な拒絶をしていない。時の権力者であった丹後局にも幾度か会っている。

 だが京から鎌倉に戻った建久六年の記録を最後に消息を絶つ。建久八年七月十四日に亡くなったと記されるだけ。

 政子は胸に手を置き、静かに息をついた。

「赤子は死産だったと頼朝殿は言っていました。私はそれを信じて顔も見なかったのです。謝っても謝りきれないけれど、私は大姫のことでいっぱいだったの」

 音は小さく問うた。

「母……大姫君はどうされたのですか?」

「出産の時に亡くなりました」

 音は手を強く握りしめる。冷えていく心。

「父は一体どなたなのですか?」

 大姫は入内の予定だった。なのに身籠った。その父親は帝なのか、それとも……

「いいえ、わかりません」

 政子を見る。政子はあちらを向いていた。

「あの時は大姫の入内の話で私も頼朝殿もいっぱいだった。なのに姫は身籠り、それを隠すようにして暮らしていたの。出産が済んだら生まれた子は義時が引き取ることに決まっていて、私も姫もそれは納得していたわ。なのに姫が亡くなるなんて……」

 泣く政子をどこか遠い気持ちで眺めながら音はただぼんやりと前を見ていた。

「でも何故、頼朝殿はあなたを死んだと偽ったのか、江島に隠したのかがわからなくて。大切な孫だというのに……」

 音は目を伏せた。その理由はもうわかっていた。音が『龍女』だからだ。

 法華堂の裏山で浴びた光の中で、音は過去を視た。物心ついた時に自分がいた場所のこと。光の入らぬ、でも白々と輝く不思議な岩屋のこと。育ててくれた存在。そしてそこで出逢った人間の男の子のこと。彼が何故血を怖がるのか、何故玉を持っていたのかも。音は思い出し、そして絶望的な気分でそれらを胸の内に呑み込んだ。

 

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