menu
閉じる
  1. アワの夢『 北条政子の夢買物語 』
  2. 連載は3月で完結。4月いっぱいで下げます。<アマカケル>
  3. 竹御所、若紫源氏を育てる(鞠子と三寅)
  4. いもうと(頼朝と政子)
  5. 「アマカケル―北条の姫―」AmazonKindleで販売開始します
  6. イザヤ!鎌倉「江間家の段」3(My wife’s mirror:吾妻鏡…
  7. 20万字もの長すぎる文章をKindle用にe-pub化する方法(Mac…
  8. あづまがたり(頼朝と政子の出逢い)
  9. 『 腑抜けの三郎 』 ―北条重時―
  10. 『アマカケル北条の姫 ―蛙姫― 』北条家血 お知らせ
閉じる
閉じる
  1. 腑抜けの三郎―北条重時―59
  2. 腑抜けの三郎―北条重時―58
  3. 腑抜けの三郎―北条重時―57
  4. 『 腑抜けの三郎 』 ―北条重時―
  5. 腑抜けの三郎―北条重時―56
  6. 更新が滞るかもしれません
  7. 腑抜けの三郎―北条重時―55
  8. 腑抜けの三郎―北条重時―54
  9. 腑抜けの三郎―北条重時―53
  10. 腑抜けの三郎―北条重時―52
閉じる

頼朝・北条好きFanSite「あづまがたり」

腑抜けの三郎―北条重時―49

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 
 

 
 
 その頃まさに御所の南門前では、馬に騎乗した義秀が御所内に攻め入らんとしていた。

「我こそ朝夷奈義秀! 傍若無人の義時の所業を諌める為に起った。将軍をたぶらかし権威を欲しいままにする逆臣・北条義時と中原広元に従おうという者は前へ出て我と戦え! その首刎ねて由比の浜に並べてやる!」

 義秀は高揚していた。今日の自分は身体がいつもより軽い。刀が軽い。腕が大きく振れる。声がよく通る。

 これは何かに似ている。ああ、そうだ。見たこともないような大きな鯨と対峙した時のことだ。波を蹴立てて現れたそいつと俺は目が合って、そして対峙したのだ。銛を持って。

 御所の南より見て北の方角、御所の向こうに連なる龍の眠る山々を眦に、義秀は武者震いをした。ニィと大きな笑みを形づくると腹から吼える。

「朝夷奈三郎義秀ここに見参! いざ尋常に勝負しろ!」

 周りを取り囲む御所の護り手達は、義秀の迫力に気圧され一歩も動けずにいた。義秀はゆっくりと馬から降りる。後ろの供に持たせていた棍棒を手に取る。目指すは南門。

「うおぉぉぉぉ!」

 吼えて走り出す義秀に、足を竦ませていた護り方の御家人が慌てて立ち塞がる。義秀の狙いが南門であることに気付き、決死の覚悟で身を投じたのだ。

「うわぁぁぁぁ!」

 恐怖のあまり目を瞑っている者までいる。それでも彼らは必死でその場に留まった。

「お主らの忠義、見事! 覚えておくぞ!」

 棍棒を振り回す。

 ガキョッ!

 鈍い音を立て、護り手達の身体は刀もろとも薙ぎ払われて横飛びに飛んで行く。御所の壁にぶち当たり、ぐしゃりと潰れる。その場の空気は冷たく凍った。

 その中を義秀は薄い笑みを浮かべて立ち上がる。月明かりと松明の明かりに照らされ、その姿は鬼神のごとく見えた。

「わぁぁぁぁ……!」

 飛ぶ虫が火に吸い寄せられるが如く義秀に群がる護り手達。だが今日の義秀には自分以外の全てがか細く、弱々しく見えた。

 ズズ……ン!

 重い音が御所内を震わせる。御所を守る大きな南門が御所の内へと倒れこんだ。義秀が南門を棍棒で叩き壊し、足で蹴破ったのだ。和田の兵達が大歓声を上げる。

 南門から御所内へとなだれこむと御所に向かって火矢を次々と射かけ始めた。

「燃やせ! 義時と広元を炙り出せ!」

 

 だがその頃、義時らは既に地下の隠し通路から法華堂へと逃れていた。

「御所は大丈夫なのか」

 後ろを振り返り不安げに尋ねる実朝に、義時は首を横に振った。

「火矢がかけられた由。御所は直に燃え落ちるでしょう」

 呻く実朝の先に立ち、静かに前を向いて歩きながら義時は続けた。

「御所は焼けてもまた建てれば良い。将軍、あなたが居る所こそが幕府です」

 

次ページ

目次へ戻る

関連記事

  1. 腑抜けの三郎―北条重時―47

  2. 腑抜けの三郎―北条重時―56

  3. イザヤ!鎌倉「江間家の段」4(My wife’s mirror:…

  4. 腑抜けの三郎―北条重時―05

  5. 北条政子の夢買物語 17

  6. あづまがたり(頼朝と政子の出逢い)

おすすめ記事

  1. 『 腑抜けの三郎 』 ―北条重時―
  2. 「アマカケル―北条の姫―」AmazonKindleで販売開始します
  3. 20万字もの長すぎる文章をKindle用にe-pub化する方法(Macで縦書き・無謀勝負)その1
  4. イザヤ!鎌倉「江間家の段」3(My wife’s mirror:吾妻鏡・妄想誤訳)
  5. イザヤ!鎌倉「江間家の段」1(My wife’s mirror:吾妻鏡・妄想誤訳)

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

Amazon 出版物(電子書籍)


「殺さなきゃ……父が来る前に」後に北条政子と呼ばれる女は、水を滴らせた白い布で夫の口を塞いだ。「私を妻にしてください」そう願ったのは幼い頃。歳が十離れたその人、佐殿は「源氏物語」の「光の君」そのもの。いつか若紫のように望まれて、共に生きると信じてた。(長編)



捕えられ鎌倉へと送られた白拍子は、八幡宮での舞に呪をこめる。男児を殺され奥州を目指すも辿り着いたのは蝦夷だった。静御前の話。(中編)


木曾義仲の息子・義高が逃亡した。その身代わりとなって牢に繋がれた海野幸氏と、彼を助けようとする大姫の話。(短編)

ポチで応援おねがいします

にほんブログ村 歴史ブログへ にほんブログ村 小説ブログ 歴史・時代小説へ
ブログランキング・にほんブログ村へ

おすすめ記事

  1. 腑抜けの三郎―北条重時―59
  2. 腑抜けの三郎―北条重時―58
  3. 腑抜けの三郎―北条重時―57
  4. 『 腑抜けの三郎 』 ―北条重時―
  5. 腑抜けの三郎―北条重時―56
ページ上部へ戻る