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腑抜けの三郎―北条重時―55

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 夕刻、和田軍は完全に由比が浜に押し込められていた。

「おのれ義村! 裏切るばかりか我先にと攻めるとは! そんなに恩賞が欲しいか!」

 吼える義盛に、返す義村。

「三浦一族の惣領はこの私だ。和田は三浦の嫡流ではない。庶家は速やかに我に従え!」

「クソッ! 起請文を書いて誓約したは油断させる為か。そなただけは我が手にかけて殺すぞ。いざ、互いに一騎にて組み討ちせん!」

 歯嚙みして吠える義盛を、義村は肩を竦めて嗤う。

「どこの誰がそのような勝負に応じるものか」

 矢をつがえ義盛めがけて放つ。義盛が刀でそれを避けると、義村は自軍に命を下した。

「皆の者、矢を放て! 義盛を討って恩賞に預かれ。悉く和田を滅ぼすのだ! 三浦の土地は和田の物ではない。全て我ら三浦の物だ!」

「義村め! 地獄に堕ちろ!」

 義盛が吼える。だが雨霰と降り注ぐ矢の中、義盛の目の前で四郎・義直が討たれた。

「義直!」

 義盛が駆け寄るが、義直は既にこときれていた。

「義直! 何故お前が私より先に……!」

 義盛は絶叫して砂に膝をつけ号泣を始める。戦意を喪失したように砂浜に頭を落とす。それを見た義秀は、ぞっと大きく震えた。

「親父……ふざけんなっ! 立て! 戦えっ!」

 だが、がなる義秀の目の前で和田義盛は男らに取り囲まれる。無数の銀色の刃が、子を抱く義盛を狙って閃く。

「親父ぃぃ!」

 餌に群がる蟻のようだ。振り払わねば。いや、親父なら簡単に振り払える筈。そう信じた義秀の前に、ごとりと転がる大きな頭。同時に沸き起こる歓声。

 頼朝挙兵以来の猛者・和田義盛は、恩賞に目を眩ませた男達に寄ってたかって蹴り倒され、首を落とされた。

「大殿が……大殿が討たれた!」

 同朋の悲痛な叫びに、和田軍の空気が一瞬にして凍る。大将を亡くした和田軍は総崩れとなった。義秀の兄弟らが右で左で次々に討たれていく。首を落とされていく。義盛の死を見て抵抗をやめたからに相違なかった。浜のあちこちで上がる悲痛な呻き声。

 だが、ただ一人、朝夷奈義秀だけは奮闘を続けていた。

「クソ親父! 勝手に死ぬんじゃねえ! 諦めるのが早過ぎるんだよ! 何を簡単にくたばってやがる!」

 残された俺達は、和田の郎党らはどうなるんだよ、クソが! 責任感とかそういうものはないのか。勝手に先にくたばるとは何事だ。俺達にどうしろって言うんだ。

 振り払っても薙ぎ払っても、沸いて出てくる蟻の軍団。由比の浜は血で真っ赤に染まり、首を無くした身体が岩のようにゴロゴロと転がって温く揺らめく。

「最早、これまでかと……義秀殿」

 和田の残兵が義秀の周りへと集ってくる。この由比の浜で、皆で揃って自死を迎えようと言うらしい。義秀は周囲を見回した。辺りに立ちこめるのはどこまでも濃い死の気配。ハッと笑う。

「何でだよ」

 どうして、たった一人、大将がやられたくらいで、どうして皆次々死んでいくんだ? おかしいだろ。

 『朝夷奈殿の志は何ですか!』

 その時、先程の重時の声が甦った。義秀は舌打ちする。ケッ、腑抜けが偉そうに。

 『あなたは何の為に戦うんですか!』

「んなこと、わかってたら戦ったもんかよ」

 

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