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腑抜けの三郎―北条重時―58

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 その頃、和田の兵達はぞくぞくと船の周りへ集まっていた。しかし引いた波によってどの船も浅瀬に乗り上げ、船体は大きく傾いでいた。

「くそ……こんな時に津波が来るなんて」

 ガコン……ガガ……。

 船の底が海の底に当たる嫌な音が不気味に浜に響く。風読みの爺が空を見上げた。

「津波としたら大した規模ではなさそうじゃが、それでもこれらの船は波に攫われて岸に打ち上げてしまうだろうの。沖に出られれば、陸よりずっと安全じゃったんだが……」

「もう間に合わない」

「岸に打ち上げられたら和田は全滅だ」

 ギギ……ギギィ。

 船体が軋んで嫌な鳴き声を上げる。和田兵達は色を失って、船と沖を交互に眺めた。

 だがその時、義秀が口を開いた。

「いいや、まだ手はある。全員、鎧を脱いで捨てろ。船を持ち上げ船首を沖に向けるんだ」

「そ……そんなこと無理だ」

「無理でもやれ! 船を守るんだ!」

 大声を張り上げる。和田の残兵達は仁王のように堂々と立つ義秀の体躯を見上げた。この人に付いて行けば生き繋ぐことが出来るかもしれないと希望を託す。

 合戦が嘘のように不気味に静まり返った浅瀬で、和田の残兵達は鎧を脱ぎ捨て、船の周りへと集まった。

「見ろ! 白波が押し寄せて来るぞ!」

 ザザザザザ……。

 波が波を呑み込む音。白く迫る波の稜線。

 その時に船を囲んでいた男達はもう武士ではなく、全員海の男の顔に戻っていた。

「波乗りと同じ要領さ! 船の頭を波に乗り上げさせろ!」 

「おおっ!」

「俺らは三浦海賊。海と共に生きる氏族。津波など恐れるに足りん! 行けーーっ!!」

「うおぉぉぉぉ!」

 男達は口々に吼え、迫り来る大きな獲物と対峙した。寄せる波、岸に、海底の山にぶつかり複雑な動きをする波。海賊達は必死に戦った。そしてとうとう波の上に乗る。船は木の葉のようにふわりと波を乗り越えた。

「乗れっ! 遅れるな! 沖に出るんだ!」

 和田の船は浅瀬を脱して沖へと逃げていった。安房へと。東北へと。

 

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