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腑抜けの三郎―北条重時―59

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 だがその数刻後、朝夷名義秀は死に瀕していた。

「父さん、なぁ……しっかりしろよ」

 細い、細い声で義秀に話しかける巴。

「さっきまであんなに元気に吼えてたじゃんか。これくらいの傷平気だろ? 起きろよ」

 ぼろぼろと涙を零し首を横に振る巴に、義秀は青白いながらも不敵な顔で笑って見せる。

「何泣いてやがる。海で死ねるんだ。悲しむことじゃねぇだろ?」

 和田の残兵達は、ただただ黙して英雄の死を受け入れようとしていた。

「俺ももう歳だからな。そろそろ引退して船はお前に譲ってやるよ。喜べ」

「嫌だ! まだ早いよ! 父さんはまだまだこれからじゃねえか!」

 叫ぶ巴の頭を撫で、義秀は言葉を紡いだ。

「立派な海の女になれよ」

 それから巴の後ろに控える秀太に目を移す。

「秀太、巴を頼むぞ。任せたからな」

「承知」

 秀太は強く目を瞑ると一言で答える。それに笑顔で応えると、義秀は目を方々に泳がせた。

「乙姫はどこだ?」

 その声が聞こえた瞬間、音は立ち上がった。よろよろと義秀の側に寄る。

 養女の顔を確認すると、義秀は安心したように頷き、その大きな手で音の頭を撫でた。

「龍神様に感謝を申し上げるぞ。よく三浦海賊を守ってくださったな」

「守って、なんか……」

 音は強く頭を横に振る。

 助けたかった。助けたかったんだ。なのに自分がやったことは……

「乙姫、頼むぞ。これからも三浦海賊を守ってやってくれ。な?」

 船の上の全員が音を見て頭を垂れる。

『龍女は周りの人間を取り殺すと聞くぞ』

 蘇る呪いの言葉。

 母は自分を生んで死んだ。義父も自分をかばって死のうとしてる。三浦海賊は安房を追われる。なのに、私がここにいていいわけない。

 うなだれていた音の手が強く握られる。ハッと顔を上げる。巴が音の手を強く握っていた。その手は痛々しい程に熱く、震えていた。音は微かに頷くとその手を握り返した。

 それを見て安心したのか、義秀は一つ大きく息を吐くと張り詰めていた身体の力をそっと抜いた。瞼が閉じる。

「父さん!」

 巴の悲鳴が一つ。その後は、男たちのすすり泣く声ばかりが波の音を消した。

 英雄、朝夷奈義秀は海に散る。享年三十八歳。

 

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