タグ:北条時政
「まぁ、お上手に書けたこと」 優しい母の声に、三郎は筆を握ったまま得意げな顔で振り返った。 館を抜け出した翌朝、次郎と三郎の二人は、由比の浦に小船で揺られている所を漁師に発…
おしまいです。あー、短編のハズが長いし。だるいし。外伝なのに、本編を喰ってる気が……(汗)なんで42話にもなるかな。15くらいのつもりだったんだけど(滝汗)サイトで春まで公開し…
このページにお越しいただき、ありがとうございます。「アマカケル北条の姫」は一旦下げました。近く、Kindleにて公開予定です。以下、外伝です ――― 。「秋夜夢(短編)」源頼朝&北条政…
だが、それから少しして頼朝はお忍びで江間の館を訪れるようになった。表向きは小四郎と碁を打ちにくるのだが、そうではない。江間の館には八重がいた。 頼朝の来訪がある日には、小四郎は家人に暇をやり、人目に立た…
夜半、時政と小四郎は箱根権現へと辿り着いた。迎えに出た箱根権現の別当は、二人に驚きの事実を伝える。「え、佐殿がここにおられる……? 無事に逃げおおせたのか……!」 時政はその場にへなへなと腰…
「馬はここで捨てる。山には登れぬからな」 小富士を連れて来るのではなかったと小四郎は後悔した。誰か信頼出来る人物に預けるのだった。手綱を外された小富士は不思議そうな目で小四郎を見ている。小四郎はその鼻…
その時、数名の足音がして、二人は刀を構え直す。小四郎も疲れて重い腕を無理矢理に振り上げた。 現れたのは大きな輿に乗せられた巨体の持ち主、狩野茂光。体重が重過ぎて馬に乗れないという理由で輿に乗って従軍…
「佐殿を見捨てるのですか?」 宗時の非難の声に、時政は薄暗い顔で応えた。「見捨てるのではない。再起を援助する為だ」 杉山。 石橋山での大敗の後、頼朝達は土肥まで兵を引き戻し、堀…
伊豆が騒がしくなったのは、その明くる年の春のこと。頼朝の叔父・源行家が、以仁王の令旨を手に北条館を訪れたのである。「平家を討てと?」 宗時が眉をしかめる。それに対し、時政は鼻を大きく膨らませ…
「小四郎、八重姉様から預かったわよ」 声をかけられて振り向けば、政子が直垂を手にしていた。でも見覚えのない直垂に小四郎は出しかけた手を下ろす。「新しく縫って下さったのよ。あんた、ちゃんと江間に顔を…