タグ:武田信光
「はぁ? 義時が花嫁を馬に乗せて逃亡した?」 素っ頓狂な声を上げた頼朝に、ぶっと噴き出す石和五郎。「あの、しんねりむっつりめ、随分と面白いことをするじゃないか」 その横で畠山重忠が呟いた。…
その後小四郎は石和五郎の後をついて甲斐へと赴き、彼の父である武田信義と面会した。そこで小四郎は先の考えを改める。石和五郎はまだ子供の龍でしかない。武田信義こそが龍であった。「石橋山では大敗したそうだ…
先程まで案内してくれていた僧には礼を言って箱根権現へと戻した。「辛気くさい顔しやがって。初陣だっただか?」 確かに初陣だが、この疲れはそればかりではない。でも説明など出来なかった。父が自分を…
富士の湖の畔の戦場では、今まさに合戦が行われていた。 だがそれは不思議な合戦だった。 片側は距離を取って矢を大量に射かけ、もう片側は弓は地に打ち捨て、太刀だけで相手に近付こうと死闘を繰り返し…
急いで蛭ヶ島に戻れば、館の中はガランとしていた。元々、旅の途中の仮住まいで荷はほとんどなかったが、その全てが消え、床は綺麗に拭き清められていた。 慌てて馬屋へと走る。するとそこには旅姿の石和五郎が馬を引…
「よぉ、どうした? 鬼にでも喰われたよっちょ顔して」 蛭ヶ島の古い館。伊豆に流された直後に数年と、招かれた伊東から命を狙われて北条を頼って戻ってきての数年を頼朝が過ごした場所。空き家になっていたこの館には…