タグ:源頼朝
「アマカケル北条の姫」の表紙、やっと作りました。カバーイラスト苦手なので、どなたかにお願いしたいなぁと思ったりもしましたがまぁ、自分の絵じゃなしにやってしまおうかと商用OK…
このページにお越しいただき、ありがとうございます。「アマカケル北条の姫」は一旦下げました。近く、Kindleにて公開予定です。以下、外伝です ――― 。「秋夜夢(短編)」源頼朝&北条政…
刀は嫌いだ。重くて無粋で、常に優劣を競い合って反り返っている。 それに比べ、弓は好い。羽の美しさ、弦の奏でる音、成りが描く曲線も優美でしなやかだ。 なのに、持たされたのは刀一本。 取り上げてくれれば良…
「はぁ? 義時が花嫁を馬に乗せて逃亡した?」 素っ頓狂な声を上げた頼朝に、ぶっと噴き出す石和五郎。「あの、しんねりむっつりめ、随分と面白いことをするじゃないか」 その横で畠山重忠が呟いた。…
「へ……」 小四郎は紙に書いた「へ」の字を前に頭を悩ませていた。 屁、は当然よろしくない。品性を疑われる。 平家、は面白くない。 『へ』ではなく『べ』にして、紅を送ろうか。でもそれ…
だんまり、腑抜け、しんねりむっつり。 北条家の次男、小四郎義時は「しょんない」が口癖の、いつもどこかに「とかじった」男だった。 二代執権・北条義時の若かりし頃の話。
「やあ、済まなかったな」 頼朝はにこりと微笑み、小四郎は首を横に振る。 とかじっていた夫婦の関係が改善されたのだろう。御所内の空気が柔らかく変化したように思うのは気のせいではない。『戦の時…
だが、別に何の問題も起きなかった。頼朝は時政が伊豆へ行った直後こそ慌てて小四郎を呼びつけたりもしたが、他の氏族が呼応しての内乱が起きる可能性がないと見るや、やっと厄介払いが出来たとばかりに上機嫌で政子の機嫌を取…
パチリ。パチリ。 碁石が盤を叩く音が静かな部屋に響く。小四郎はわからないようにこっそりと微笑んだ。 この音が好きだ。静かな風が流れるのも。多数の人間が小さな盤を二重三重に囲み覗き込みながら無言で…
その後はめまぐるしく時が流れた。平清盛が死に、木曾義仲が起ち、西国は飢饉に襲われ、京は荒れた。 逆に東国は好天に恵まれ、稲はよく育ち、頼朝の味方は日を追って増え、鎌倉の町は新しく美しく整えられた。…